第16話 内紛の渦中

新人類社会の内部で激しい対立が生じ、事態は内戦の様相を呈していきました。

一方は徳訓とディーンらの長老を中心とする主流派で、倫理と調和を重んじる穏健な立場でした。もう一方は、完全な自由と個人主義を標榜する過激派でした。

この対立の背景には、新人類が持つ超常的な能力の使い道をめぐる根本的な価値観の違いがありました。主流派は、能力を人類社会の調和的な進歩に資するよう厳格に統制すべきだと考えていました。

一方の過激派は、能力の完全な開放を求め、いかなる規制もかける必要はないと主張していました。新人類は従来の人間を超越した存在であり、干渉されるべきではないというのが彼らの信念でした。

この二つの立場の対立は、次第に妥協の余地を失い、危険な方向に傾いていきます。双方の思想的な確執に加え、権力闘争の様相さえ帯びるようになったのです。

やがて、主流派と過激派の小規模な武力衝突が起こり、事態は完全に内戦の様相を呈するに至りました。新人類同士が向かい合い、その超常的な力を行使し合う有様は、まさに悪夢のようなものでした。

時の操作、心理の支配、物質の自在な創造と破壊。あらゆる超常的な力が行使され、世界中に甚大な被害が出ていきます。

長老たちは和平交渉に努めましたが、過激派の指導者たちの態度は強硬を極め、jawoning両者の溝は次第に深まっていくばかりでした。

内戦は遂に全面戦争の様相を呈り、地球規模の破滅的惨事へと発展していきます。主流派と過激派の両勢力は、お互いに決着をつけようと、常人の想像を絶する力を無差別に行使し始めました。

その結果もたらされたのは、文字通りの世界の終焉でした。地球の生態系は次々と破壊され、気候は大変動を来たし、人類社会に深刻なダメージが出てしまったのです。

内戦の犠牲になった従来の人々も多数に上り、未曾有の苦難に直面することになりました。内戦当事者である新人類同士が力を無尽蔵に使い続けた結果、地球そのものが生命を維持できなくなってしまったのです。

生き残った長老たちは、遅きに失した思いで、この内戦の愚かしさと過ちに気付かされました。倫理性の欠如が、この破滅的な事態をもたらしてしまったのです。

徳訓とディーンは涙を流しながら、誓いました。彼らは生き残った力を振り絞り、なんとかこの惨状から人類を救い出さねばならない。そうしなければ、長年の活動と希望が全て無に帰してしまうと。

つらい決断を胸に、長老たちは動き出しました。彼らが選んだ最後の手段とは、まさに想像を絶するものでした。

新人類の戦いが、地球だけでなく太陽系全体に災厄をもたらしかねない危険な事態となり、長老たちは究極の作戦に踏み切ることとなったのです。

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