第5話 会話

 僕はどうしてこんなことをしてしまったのだろう。

 これでよかったのか。

 僕は自分で斎藤さんとの接点を持ってしまった。

 自分の私利私欲で相談に答えてしまった。

 推しとは一定距離を保つという掟があったにもかかわらず。

 うあああ!!やってしまったぁぁぁぁ!!!


 何日もこのことが引っ掛かりDMでの山田さんとの相談も何日も受けれなかった。

 そしてどうしても斎藤さんと会っても顔を見ることができない。

 いつものことかもしれないが違うんだ。見ようとするが何か壁があるみたいに顔をそれ以上動かすことができない。

 深刻だ。

 このことは竹内にも言われた。

「おい、最近疲れてるのか元気ないけど大丈夫か」

 …竹内に言われたのなら重症なのだろう。…多分…

 まあ、いずれにしてもどうにかしないといけない

 僕は学校が終わり家に帰ってスマホを開いた。

 そこには溜まっているDMがある。

 よくわからない裏垢からではない。

 斎藤さんのアカウントだ。

 まあ、フォロワーもいないので仕方がないが。


 僕はしばらく悩んだ末に斎藤さんのDMを見てみることにした。

 するとそこには僕が何日も返信してなかったからか心配の連絡があった。

 本当に申し訳ない、ただ多々そう思った。だって、勝手に何日も心配させてしまって。

 斎藤さんを困らせてしまったのだ。

 僕は居ても経ってもいられなくなりお詫びの返信をした。


「すみません。すこし落ち込むことがあって連絡ができませんでした」


 送るとすぐに既読が付いた。


「そうだったんですか。少し立ち直れたみたいで安心しました」


天使だ。天使だろ。いや・・・天使だ。


「何か悩み事があれば聞きますよ?」


 ん‘’ん‘’!!

 ダメだ。これはダメだ。ヤバイ斎藤さんは僕を落す堕天使かもしれない。真剣に考察した。


 …さて、すこし落ち着いたぞ。

 とりあえずどう返そうか。

 そもそも相談に乗ってもらってもいいのか。

 でも、本人に聞いてみた方がいいよな…

「実は・・・」と文章をはじめ

 僕は相談をしてみた。


「なるほどなるほどそんなことがあったんですね」

「はい・・・」

「まだ罪悪感があると・・・」

「はいそうです」


 そう答えると斎藤さんからの返答がしばらくの間帰ってこない。

 ま、まさかキモイとか思われてブロックされちゃったとか?


 まあそんなことも無く帰ってきた。

「まあ、あれですね。私もよくありますよ。友達に答えを教えたけど全然違ってものすごく申し訳なくなったりしますもん」

なんか思っても見ない解答が来た。

「あああさんは深く考えすぎです。別に相手は何とも思ってませんよ」

「そうなんですかね…」

ちなみに‘’あああ‘’は僕のアカウントの名前だ。

「そうですよ!!元気出してください!!」

「ありがとうございました。少し元気になりました」


 僕はチョロいのかもしれない。

 相談で少し気持ちが軽くなった。


「ところで例の人とは話せました?」

「はい!うまく話せました!」

「よかったです」

「話してみると思ってたよりも話しやすい人でした」


 いいいいいやったぁぁぁぁあ!!!

 好印象きたぁぁぁぁあ!!

 僕は今までの暗い気持ちが吹き飛ぶぐらいうれしかった。


 そこからはウキウキで会話をした。

 朝まで。

 …楽しかったなぁ‥‥


 連絡が終わり少し寝てすぐに学校に向かった。

 前だったら疲れているはずが今日は鼻歌交じりでスキップをしながら学校に向かった。

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