第3話 学校での出来事
僕は眠い目を擦りながら学校へ行き自分の席に座った。ものすごく眠い。隣を見てみるとすでに斎藤さんが座っていた。机に肘をつき時々頭が上下に動いている。どうやら斎藤さんも眠いらしい。
しかし、斎藤がこんなにも眠そうなのは初めて見た。このまま寝てくれたら寝顔が見えるのになーと思いつつ隣を見ていると斎藤さんと目があった。
斎藤さんの目の下にはくっきりとクマができていた。
…ずっと思っていたのだがやはりじっくり顔を見るとやはり綺麗だ。
さらに正面から顔を見る機会なんてなかったので新鮮味がある。
などなど思いに更けていると。当たり前だが、斎藤さんと変態がずっと目が合う謎の時間が流れる。
さらに当たり前だが僕の会話能力はとっくに化石となっている。
だけど流石に気まずく感じ話しかけることにした。
僕は話しかけるにあたり自分が持っているすべて能力を使い質問を考える。
思考時間わずか0.2秒斎藤さんが不自然に思わないぎりぎりの時間を攻める。
僕は思考の闇に飲まれて行った。
ここで質問を実際に考えてみる。
たとえば、本当にあのアカウント主なのか。
しかし、この質問はあまりにストレートすぎる。
次に、なぜそんなにきれいなのか。
これは当たり前すぎて逆に困ってしまうだろう。斎藤さんだからだ。
次に行こう。
もしかして斎藤さんの家って学校の近くにありますか。
・・・だめだ。これはダメだ。たしかに学校に比較的近い僕よりも早く学校に来て、徹夜で朝まで相談をしていたぐらいなので家を出る時間はほぼ変わらないと仮定する。このことから斎藤さんの家は近いかと思ったがだめだ。ただの不審者だ。
次だ。
眼のクマはどうしたんですか?寝不足ですか?
そうそうそういう質問を待っていたんだ。わざわざ尖った質問をする必要は無い。そうと決まればいざ質問してみる。
僕は思考の波から抜け出し斎藤さんに向き直った。
「なんかずっと悩んでたけどどうかしたの?」
斎藤さんからの質問が飛んできた。
僕は耳を疑った。待て待てこれはダメだろ。僕から質問しないと今までのカンペが使えないじゃあないか。てか、知らない間にそんなにも時間が経っていたのかと。時計を見てみると数分が経っていた。
「アッ・・・アッ・・・アッ・・・」
僕は予想外の出来事で頭の中が真っ白になり質問の内容を忘れ、羞恥心により顔を真っ赤にし、ちいかわのような泣き声しか出せなくなった。
次第に居ても立っても居られなくなり顔を隠しながら走って教室を出た。
数分後にチャイムが鳴り教室に戻った。すごく気まずかった。
自分の不甲斐なさに頭を悩ませていると知らぬ間に昼休みになっていた。
目の前には竹内が机を合わせ弁当を広げようとしていた。
「お!とうとう意識が戻ってきたか。さっきまでは白目をむいてたぞ。」
竹内はにやにやしながらそう言ってきた。
「ああ。竹内か」
「それにしても朝のあの出来事は面白かったよなぁ。」
「ん?竹内?}
「あれだよ。あの永森が斎藤さんと話しているところ」
「おい。竹内」
「あの顔を真っ赤にして教室を出ていくところとか特に面白かったぜ」
「おい竹内これ以上言ったら息の根止めるぞ」
僕は本気で殺意が湧いた。
「おお、怖い怖い」
そう言い両手を肩ぐらいまで上げ降参のポーズをした。
「ところで斎藤さんと何があったんだ?」
「ん?全部見てたんじゃあないのか?」
「いや。最後の教室に出るところぐらいだが?」
「カマかけたなぁああ!」
「確証はあったんだよ。だって、斎藤さんが授業中にしきりにお前の方を見てたからな」
この言葉を聞いた途端意識がはるか彼方にとんだ。
まさか・・・脈あり!?
そう。斜め上の方向に向かって・・・
次に意識が戻った時には一人教室に座っていた。
僕は慌てて帰る準備をし、家に帰った。
家に帰った後、僕はなかなかスマホを開くことができずにいた。
なぜなら帰宅時に夢が冷めたのだ。
普通に考えてなぜ話しかけられて挙動不審になり教室から逃げるように出ていった僕のどこに惚れるのか、いや、惚れることはないだろう。となったらだ、もしTwitterなど開いて見ろ、僕の事についてさんざんに書かれているだろう。もしかしたら不審者などと思われてないかなぁ・・・
そう思いながら何も映っていないスマホの画面を見ている。
僕は決心しスマホを開くことにした。
ホーム画面を開こうと画面を空けようと画面に触れると同時に連絡が入った。
Twitterだったのだろう。
僕の人差し指が通知に指が触れてしまっていた。
僕は戻ろうとしたが顔認証が優秀すぎたためスムーズに開いてしまった。
久々に理不尽を実感する出来事になった。
・・・終わったかも・・・・
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