第10話 寄り道

 一人で、静かに波の音を聞きながら海の横を通る。いつ見ても綺麗な海だなと思いに耽っていると、波辺のほうで、人影を見た。視力はいい方ではなく、目を凝らさないと見えないほどだった。

 

 だが、女性だった。

 どうせ同じ学校の子でしょ、入学初日からエモいことしてるなと、気には留めなかった。

 

 部活もなく、まだ空は青かった。せっかくだから、日が海に半分沈むまで、寄り道をしていくことにした。おばあちゃんがやっている駄菓子屋だってあるし、花屋だってある。せっかくだから、花屋に寄っていくことにした。若いお姉さんのやっている、少しレトロな落ち着く雰囲気のお店だった。店の中を歩いて回るとサネカズラやサギソウ、黄色いスイセン。多種多様で、目を奪われる花が沢山あった。花は昔から好きで、図鑑もみていてそこそこに詳しかった。立ち寄るだけなのもあれだから、お母さんに感謝の意を込めて、ピンクの薔薇を数本買って帰ることにした。棘は危ないし、お母さんがうっかり手を切ってしまわないように取ってもらった。

 

 それからは、宝箱を開けるように店に入ったり、戦利品を買うようにお菓子を買ったり、冒険をするかのように暗くなるまで遊んだ。

 

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