第9話 これからすること

なんて話していると、駅が見えてきた。教室から駅まで随分な距離があるというのに、話続けられるサキの体力といい、コミュ力といい、本当に尊敬する。私はそこまで話すタイプじゃないから、流石だなと毎回思う。


「じゃ、また明日ね!」


「うん、またね」


と言い、駅に向かうサキの背中を見送った。電車の乗り込む瞬間、揺られている手に振り返して、電車の窓からサキの姿が見えなくなったのを確認する。ここから市内に向かう電車は、海付近を通るから、景色がめちゃくちゃ綺麗だと聞く。いつかはその電車に乗って、どこか遠いところまで行きたいな、なんて、思ったり。都会の都会で大変なんだろうけど、やっぱり、憧れるところはある。ここもここでいいところだけれどね。山も海もあるし、空気は美味しいし、優しい人も沢山いるし、私はここが大好き。たまに可笑しな人もいるけど。そんなことを立ち尽くしながら考えていた。まずいと、家の方に足を向けた。日が沈むまでまだまだ時間があるし、少し寄り道でもしていこうかな。

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