エピローグ
数日後、真取の葬式があった。葬式を終え、火葬場まで俺は付いて行った。
真取の妻は火葬場で急に「なんでこんな形で…」と泣き叫び始めた。葬式場でこらえていた涙がこみ上げてきたのだろう。
俺は、彼女に寄り添った。
火葬場で彼が燃やされる前に俺は、彼のデビュー作『マトリョーシカ殺人事件』の初稿を一緒に棺桶に入れた。これは彼が俺にくれたものだったが…
彼が居なくなった今では何の価値もないものだ…
棺桶と共に彼の死体が火葬炉に機械で送り込まれた。
そして…彼は初稿とともに、火に包まれた。
その瞬間、俺も彼の妻のように、大きな声で泣き叫んだ…
(完)
立方体型・マトリョーシカ・密室・バラバラ殺人事件 村田鉄則 @muratetsu
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