3話 ○○館
俺は、真取の死因を確かめるために、首を覚悟で、彼のスマホを触った。もちろん、指紋を付けないように専用の手袋を付けてだ。もちろん、電気を通すやつ。スマホはパスコードが設定されておらず、普通に画面が開いた。なんだか、スマホが少し湿っている感じがしたが、これは換気がされていない影響だろうか。
スマホに内蔵されたスクリーンタイムという機能を使うと、今朝に使った形跡があった。使われたアプリは外で、電灯をつけたり、エアコンをつけたり、お風呂を沸かしたりするIoTアプリというやつだった。
俺はIT知識に疎く、IoTに関して詳しいことはわからないが、少し違和感があった。
―――何で、作家で、引きこもり気味の真取が外から家の中の家電を操るアプリなんて使っているんだ???
俺は、IoTアプリを開いた。そこには、『○〇館』と書かれたボタンが登録されていた。というか、それしか登録されていなかったのだが。ボタンをタップすることで、オンオフが切り替えられるらしかった。
恐る恐る、俺は『○〇館』を俺はタップした。館ものよりかは、警察ものばかり読んできた俺には、○〇に何が入るかはピンとこなかった…
その時のことだ。ぎぃぎぃという黒板を引っ搔いたときになるような不快な音とともに、地響きが始まった。
「なんだ!!?」「何が起こった!!?」各々叫びながら、警察官は一同、外に出た。俺もビビッて外に出た。
外に出ると、館が全体的に揺れているのが見えた。
横揺れと言うよりは縦揺れだ。
それはまるで何かが上に伸びていくような…
数分後、俺は目の前の光景を見て絶句した。
「なんだ…これ…」
上に向かって先細りになっている、5階建てのブロックで作った山のようなものがそこにはあった。
そして、俺は全てを理解した。『○○館』とは『動く館』だったのか…
あいつは自分以外誰にも秘密でこの機能を部屋に実装していた…
しかし…
この館は誤作動を起こした???
自分の手に収まっている、真取のスマホを見た。
そうか、そういうことだったんだ。
変形した館を見ている警察官たちに俺は自分の推理を話すことにした。
「みんな、事件の真相がわかったぞ」
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