第2話 魔薬と盗賊

桃子ちゃんを降ろすと、ぼくは背伸びをした。

すると、目の前を投げナイフのような物が飛んだ。

ホントに目の前だったので、ぼくはかなりビビった。

元の世界で引きも持っていた時は、そんな危険な事はあり得なかった。


でも、ここは魔法の異世界。

「ふう」


「凛ちゃんあんまり離れないでね」

桜子さんが言った。そして小梅ちゃんが付け加えた。

「伯爵家の持っている黄金の鍵のペンダントがあれば、罠は作動しないの」


そう言えばみんな黄金の鍵のペンダントを付けている。

そう言う代物だったのか。


どういう技術が使われているのかは不明だが、伯爵家の術式技術力はかなり高めだ。


「じゃあそう言う訳で♪」

今度は、小梅がぼくの背中に飛び乗った。

「重い」

「重くないわ!」

ぼくの背中の小梅がぼくの頭を叩いた。


でも、ぼくが桜子さんにおんぶされる為には、まず次女の小梅をおんぶしなくてはならない流れなのだ。

小梅の中途半端な胸の膨らみが、ぼくの背中にあったっていた。


「ちっさい」

「ちっさくないわ!」

ぼくはさらに叩かれた。


黄金の鍵のペンダントを付けた、姉妹が一緒だと、罠は作動せず危険なダンジョンも順調に進める。


伯爵家の宝物殿に着くと桜子さんが、

「誰か侵入した形跡があるわね♪」

「ここまで入り込める盗賊は中々よね」

小梅が感心した。


宝物殿の中に入ると、色んな宝箱が並んでいた。

その1つの前に、サンダルが落ちていた。


「ん?これは?」

「あらあら、きっとこの宝箱はミミックね。盗賊さんは食べられちゃったのかな」

と桜子さん。

「サンダルでダンジョンを突破しようなんて、なめてるよな!」

と小梅。


確かに、命に関わるダンジョンにサンダルで入るなんて、いかれれる。


「きっと魔薬で、行ってらっしゃる盗賊さんかな」

「やれやれだよ」


桜子さんは、その宝箱に化けたミミックを、ボッと火炎魔法で破壊した。



つづく


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