日常
「学園長に呼ばれたらしいけど、何かあったの?」
「いや、特に何もないですわ」
学園長室の方から戻ってきた自分に対して、尋ねるミエドの言葉に答えた僕はそのまま彼女の隣の席へと腰を下ろす。
ちなみにこの席はクラスの陰キャ男子の席である。
「あら?何もなしで学園長室に呼ばれたの?」
「あくまで比喩ですわ。特に重要なことはなかったって話ですの。というのも、貴方もなぜ呼ばれてかある程度察しがついているですの」
「いや、なんとなくそうかな?ってのがあるくらいだったよ?」
「それですのよ。というよりそれしかないですの。あと、学園トーナメントに関する話題を少しね」
「……あー、もう。そろそろだね」
学園トーナメント。
それがもうそろそろのところにまで迫ってきている。
それを受けてミエドの方も眉を顰める。
「私たちの学年、明らかに強い人多いよね……ドラゴンスレイヤーもいるし」
「君も強い側ですの」
「……私はちょっと微妙なところだよ?所詮、私は女の子だから」
「別に私も女ですわ」
「そこまでの強さになっちゃえばもう別みたいなところあるじゃん?私ももっともっと強くなりたいなぁ」
この世界ではしっかりと男女差別が残っている。
過去の法典により、王になるのも貴族になるのも男であるとしっかり定められている。
「がんばりますわ。ミエドなら多分できますの」
ミエドの出番。
ゲームのストーリー上だとまるでなかったけど、戦闘の面においては圧倒的な基礎能力の高さゆえに引っ張りだこだった。
そんな彼女であればしっかりと強くなれるだろう……まっ!僕には勝てないけどね!」
「……頑張るけどねぇ。それにしても学園トーナメントは魔法禁止よね?あの銃はどうなるのかしら?リーベのあれ」
「……あぁー、どうなんですの?あれがそも魔法なのか……アンチマジック無効から僕はそれすらも疑っているところではあるが、まぁ、でも使わないと思いますわ。あの子もその立場は結構複雑ですわ。平民だとそこまで男だとか、女だとか気にしない、と聞いたことはありますけど」
「それもそっか」
僕の言葉にミエドは頷く。
「と、思うと私たち三者三葉は絶妙に面倒な位置にいるのね」
「そうですわねー。私も私の方で周りからの期待が重すぎますわ」
「でも、貴方なら答えるのも簡単じゃないの?」
「別に簡単ですわ。でも、面倒なのは余計な仕事までこっちの方に押し付けてくることですの。それが面倒ですわ」
授業が始まる前の時間、僕はいつものようのミエドと雑談を交わしていくのだった。
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