裏側
レイユがダンジョンに関する報告をしていたころ。
その裏で。
「……まさか、あれを討伐できる学生がいるとは」
とある男が独り言を漏らす。
「レイユがドラゴンを倒したなど、ただの嘘だとしか思っていなかったがまさか本当だとはな。まったく厄介なことだ。それに、リーベとかいう平民が活躍しただと?理解できぬな。所詮は平民だぞ?何をすればあのドラゴンスレイヤーに認められるだけの強さを得られるというのだ」
彼が語るのは己が作り出した魔物を倒したものたちに関するものである。
「豊作にもほどがあろうに。これほどまでの人員がそろうなど……世界が呼応しているとでもいうのか」
男の表情はどこまでも苦々しい。
「特にドラゴン討伐が本当だとするならば問題だ。あれを殺せるものだと……?規格外にもほどがある。しかも、まだ体などは出来上がっていない時期だろうに。何があればそんなことになるのだ」
若き英雄、ドラゴンスレイヤーのその存在はあまりにも大きい。
その称号が与えた影響は歴史を動かすと言ってもそこまで過言ではないほとであった。
動機が婚約を破棄したいなどというちんけなものではありえないほどだ。
「はぁー、忌々しい。あれが出来上がるよりも前に処断することが必要になるか。何故にドラゴンスレイヤーなんぞが生まれるのだ。それも学生の身分……いや、時期としてはそれよりも前。ドラゴンを殺した時よりもさらに強くなっている可能性が高いのか。まったくどこまで厄介だというのだ」
そんな事実を前に男は深々とため息を吐くことしかできない。
「まぁ、良い」
先ほどまでレイユがいたテントの中で。
一人の男がゆっくりと立ちあがある。
「何があろうとも俺がやることは変わらぬのだから」
一人の男。
レイユたちの学年主任である男はそのままどこかへと歩き去っていくのだった。
「……いや、レイユの対策のために少し急がねばならぬか。完成されたドラゴンスレイヤーなど見たくもない。急がねば」
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