授業後

 ダンジョン内に突如として現れた謎の魔物。

 それについての報告を僕は先生方へとしている最中だった。


「ドラゴンを倒した君に聞きたい。その魔物は如何ほどの強さで、どれだけの脅威であった?」


「まず学生レベルじゃないですわ。それどころか新米の騎士でも危ういですの。それほどの危険性を持った魔物でありましたわ」


「……それまでか」


 僕の言葉にうちの学年の先生が主任である男は厳しい表情と共に頷く。


「それほどですわ。正直に言って、ちょっと格が違うと言っていいですわ。あれを倒せるのはしっかりと毒への対応を取れるある程度訓練を積んだ一端の騎士の中隊規模である必要がありますわ。ダンジョンで言うと、確実に十五層より下のレベルの魔物と言えますわ」


「まさしく化け物。われら教師陣でも単騎ならばきついレベルか……よくぞ倒してくれたな。お前たち以外がそれとぶつかっていたことを考えると今からでも胃が痛む」


「あれを倒した貢献でいえば二人も大きいですわ」


「……何?」


 僕が一人であればもっと楽に倒せたのは事実だが、アンチマジック下で自分があの魔物に勝てたのはほかの二人の働きも大きいだろう。


「ミエドは当然の如く活躍したとして、その中でも目を引いたのは彼女ですわ。やっぱりリーベは圧巻でしたの」


 腕を吹き飛ばして、とどめも刺した。

 そんな彼女の火力はかなり高いと言えるだろう。


「良き子を拾ってきた。そう思いますわ」


「それほどか……君の意図はわかった。しっかりと上にリーベの評価を伝えておこう」


「お願いしますわ!個人的にあの娘はちょっと気に入っていますわ」


 ここでしっかりとリーべのことを上に売り、その実力を高く評価してもらえるよう配慮させてもらう。

 彼女の存在はこの世界で大きいだろうからね。


「それでは私はここで失礼いたしますわ」


「あぁ、ありがとう。とりあえず今日は課外授業お疲れさまだ。君たちのチームは当然最高評価としておく。今日のところは家に帰ってゆっくりとしていてくれ」


「わかりましたわ。それではごきげんよう」


「あぁ」


 僕は学年主任の先生の言葉に頷き、ダンジョン前に張られている先生たち用のテントから出る。

 自分が先生たちへと報告を告げたのはもう他の生徒が解散した後。

 僕がテントから出たときにはもう誰もいなかった。


「……にしても、誰があれを作ったのかな?」

 

 そんな中で、テントから出ると共に。

 僕は小さく独り言を漏らしながら、自分の屋敷へと戻る帰路につくのだった。

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