二人
ダンジョン一階層から降りて二階層。
「ぎゃぎゃっ!」
僕が瞬殺した魔物よりは一段階ほど強くなった魔物が現れるようになり、自分たちの方へと襲い掛かってくる。
「はぁぁぁぁ!」
小柄ながらも、しっかりと鍛えられた太刀筋で剣を振るミエドは自分の周りを囲んでいる三体の魔物を相手に数的劣勢を感じさせない動きで戦って見せる。
「……」
そして、そんな横でリーベは少しばかり規格外の強さを見せている。
自身の手にあるこの世界には存在しないはずの武器……そう、二丁拳銃を持って魔物の眉間を打ち抜いて次々と魔物を葬りさっていく。
自分を取り囲む魔物たちを相手にもその動きはかなり美麗であり、無駄がない。
「がんばれぇーですわ!」
そんな風に二人が戦っている中、僕はちょっと後ろの方で応援の声を上げていた。
これは僕の力が頭一つ抜けているからこその物。
お前がいると授業にならないから見えているとように、と悲しいことながら言われてしまったのである。
「ふぅー」
「これで最後ですね」
やはり、僕の応援のおかげか。
無事にミエドとリーベは魔物を全滅させる。
「……それにしても、リーベが使っているそれは一体何なの?大きな音と共に次々と魔物を倒していたみたいだけど」
無事に魔物を倒し終えた中、ミエドがリーベの両手にある二丁拳銃へと振れる。
「これは私の固有魔法ですね……自分が生まれながらに使える魔法です。魂に刻み込まれているとかなんとかで、なんかずっと使えるのです」
「へぇー、そんなことがあるのね」
「珍しいパターンだけど、ない話でもないですわ。同時代にまず二人はいないであろうと希少体質ですわ」
まぁ、ラスボスもこのタイプだけど。
わかりやすい主人公とラスボスの優遇、チート能力である。
せっせと自分で魔法を開発している僕を見習ってほしい。
「私はこれを買われてこの学園に入学することができたのです」
「確かに、これだけの能力なら納得ね。普通に実技の授業で見せていた魔法や体術の腕を見込まれてのことだと思っていたわ」
「それもあると思いますよ?私には結構すごいお師匠様がいて、その人に鍛えられたおかげで魔法と体術の方にもしっかりと自信があるのです」
「へぇ、いいね。私も小さい頃からずっと剣は習っているから自信あるよ!同学年で一番だと思っていた、くらい」
「いえいえ、同年代で実質的に一番ですよ!本当にすごいです」
「そう?まぁ、そうかも。はずれ値はあまり考慮するものじゃないよね」
「私を例外扱いにするのはやめるんですわ!」
僕は二人の会話にそう、ツッコミを入れるのだった。
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