ダンジョン
時が経つのは早いというもの。
班決めを行ってから一週間、もう特別授業の日となっていた。
「えっと、今回やらなきゃいけないのはダンジョンの三階層に行って、そこに生息している魔物であるコボルドの牙を採取すること、ですよね?」
僕とミエド、リーベさんの三人でダンジョンに潜っている中。
リーベがダンジョンへと入る前に先生が話していた目的を復唱する。
「そうだね……でも、うちのチームはその目的を簡単に果たせちゃうかもね?ふふっ、ドラゴンを倒したレイユちゃんにはあまりにも簡単な話かな?」
「別にそんなことないですわ。というのも、この学園へと入る前、学長直々に魔法の使用を禁止されているせいで結構私の実力は目減りしますわ。慣れない剣での戦いしかできないですの」
僕はミエドの言葉に自身の腰に下がっている剣をなでながら答える。
「そうだったの!?というか、そのルール結構ひどくない?」
「しょうがない話ですわ。私が魔法を使ったら本当に何でもかんでもすぐに終わっちゃうですの」
「ほ、本当にすごいんですね。レイユ様は」
「私は少し、人よりも努力するのが早かったっていうだけですの。リーベならば別に私を超えることも夢物語じゃないですの」
「……いや、ちょっとそれはぁ」
僕の言葉にそっとミエドが視線を外す。
「確かに、リーベから感じる魔力は独特だよね。実技の授業でもしっかりと実力を発揮して、そのあとも順調に成長しているし、本当に超えられそう」
「み、ミエド様まで……私はあくまで平民ですので」
「平民でも上に行くことは出来ますわ。貴方が色々と周りに言われていることもわかりますが、それでも胸を張りますの。貴方には力があるのですわ」
「……ありがとう、ございます」
リーベは主人公なのである。
乙女ゲーのくせに戦闘パートも普通にガチなクロワンの世界においてしっかりと主人公の方にも強くなってもらわなければ困る。
「っとと」
そんな風に雑談しながらダンジョンを進んでいた中、急に自分の前へと一つの魔物が躍り出てくる。
「わざわざ隠れていたんですの」
僕はそんな魔物に素早く反応して剣を一閃。
首だけでなく、両手両足も同時に切り落として胴体も半分に切り落とすことで死に際の抵抗もさせずに瞬殺してみせる。
「さぁ、先を進むですの。まだ一階層ですわ」
「……私、あの人を超えられる気がしないのですが」
「……剣でも普通に強くないかしら?」
一瞬で魔物を倒したことに対して呆気に取られている二人へと僕は早く進もうと声をかけるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます