班決め

 特別授業の班決め。

 それが始まると共に僕はが声を真っ先にかけたのは平民でずっと孤立していたリーベである。


「えっ……?」


 僕から声をかけられたリーベは困惑の声を漏らす。

 それもそうだろう。

 リーベはこの学年唯一の平民であり、全員と大きく身分が違う。

 そんな中でたった一人、常に学校生活を送っていた自分が声をかけられるとは思っていなかったのだろう。


「忘れたですの?私は貴方の実力を高く評価していると言いましたわ。この課外授業で声をかけることがそんなに不思議ですの?」


「いえ……その」


「まぁ、そんなことはいいですわ。それで?私と一緒に組んでくれますの?」


「あっ!はい、お、お願いします!」


 どちらにせよ、平民である彼女には僕の申し出を断ることなんてできない。

 彼女は素直に僕の言葉へと頷く。


「よし、それじゃあ一人目が決まりましたわ!」


 それを受けて僕は満足げに頷く。

 半ば強制的であったとしても、しっかりと組めたからオッケーである。

 このままじゃ彼女は誰とも組めないだろうし、組めたとしても明るい未来は決してなかっただろうし。

 これでよいのだ。


「二人目は……」


「私なんかどうだろうか?」


 二人目をどうするか、それを考え始めた僕の前に王子であるクルースがやってくる。


「お前はないですわ」


 それを僕は一蹴し、素早くクラスの中へと視線を巡らせる。


「ぬわぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああ!?」


「あっ!ミエドですの!」


 そして、そのまま未だ一人で椅子に座っていたミエドの方へと僕は声をかける。


「私と一緒に組みませんの?彼女も一緒になってしまうけどもいいか?」


「私は一向に構わんっ!」


「ははは、私も別にいいよー」


 僕の言葉に力強く反応してきたクルースに苦笑いを見せるミエドは彼に続いて自分も構わないと告げる。

 

「それじゃあ、決まりですわ!」


「よ、よろしくお願いします!」


 僕は満足げに頷き、リーベは自分たちの方に近づいてきているミエドへと頭を下げる。


「ぬわぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああ!?」


 そして、クルースは再度悲鳴を上げてうずくまってしまう。

 そこに先ほどの『私は一向に構わんっ!』と力強く告げたは姿なかった。


「何事もなく平和に終わりましたの」


 何の問題もなく、スムーズに班決めをすることができた僕は満足に頷くのだった。


「……え、っと」


「……ははは」


「ぬわぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!?」

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