耳と心

私は正直に言うならば、これらの過去を黒歴史だとは思わない。馬鹿だったとは思うけれど、現在進行系で馬鹿なまま。過去が黒歴史なら、未来は黒歴史予備軍だろう。


黒歴史とは何であろうか。人間失格よろしく「恥」だろうか。恥の成り立ちこそ、知らないが、耳と心で恥と書くのは何だか面白い。自分の心臓の音を、自分自身の耳を近づけて聞くことはできない。きっと、人は自分一人では何が恥かはわからないようにできている。耳を近づけてくれる人がいて、心臓の鼓動が少しだけ早くなって、やっと、恥が生まれるのだろう。


私は何も恥じてない。私はたぶん、何もしていないし、何をしたかったわけでもないのだ。


だから、これを読んでくれた誰かが、たった一言、冷たく「恥じなさい」と告げてくれることを期待している。

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心臓に耳、近づけて 山本貫太 @tankatomoma

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