5話 最初の敵クソガキをボコす。
「やっと見つけた!私のお兄ちゃん!」
「はぁ?あなた何を言ってるの?兄さんとは今ここで初めて会うよね?バカなの?アホなの?その角生やす為に脳みそ捨てたの?」
「ひどいよ...初対面の人にそこまで言わなくてもいいでしょ...」
サグメは未知の住人に対して容赦なく罵声を浴びせたせいか、この角っ子美少女はかなり落ち込んでいた。
流石に可哀想なので俺は角っ子の味方に付いた。
「このバカ!こんなにも可愛い尊い女の子をいじめるな!…悪かったなこいつがいきなりひどい事を言って、兄の俺から謝罪するよ。」
「いえ!私は大丈夫です。それよりもあなたは変わってる。魔族の私に対して優しく接してくれるなんて。」
「兄さん!いきなり知らない人が自分の兄にお兄ちゃんなんて言われたら黙ってられない!」
「お前は喋ってるとややこしくなるから一旦黙ってろ!」
「ひどいよ兄さん…」
「そんな事より魔族!?」
まさかとは思ったがつい驚いてしまった、本当にゲームやアニメ出てくる魔族だったとは...でもこの子は全然悪い子には見えない。むしろ可愛いし、めちゃくちゃいい子だ!
「ふふ、そういえば申し遅れました。私はソリアって言います。こんな私に優しくしてくれてありがとうございます。」
その子は微笑みながら挨拶をしてきた。笑った姿がマジで可愛いぞ!この子!
俺達も自己紹介をしないとなと思いサグメの頭を撫でながら…
「じゃあ改めて俺は雨宮蓮だ。気楽にレンって呼んでくれ。」
俺は自己紹介を簡単にした後にサグメの目を見て次はお前だと合図を送る。
「私は兄さんの妹のサグメ。これからは私の事はお姉さんと呼ぶようにしなさい。」
こいつは初対面の人に何言ってんだ!俺はサグメが自己紹介が終わると撫でていた頭をチョップしてやった。
「痛い!何するの兄さん私は何も悪い事ははしてないのに!」
「見ず知らずの人に次から自分の事を姉さんと呼べって言うバカはいるか!」
「だって!兄さんの事いきなりお兄ちゃんって呼んでたでしょう!」
そうだった。危うく忘れるところだったがこの子はなぜいきなり俺の事をお兄ちゃんって呼んだのだろうか?
別に俺としては可愛い妹がもう一人増えるのは大歓迎なのだが気になる。
「なあソリア、なんで俺の事をさっきお兄ちゃんって呼んだんだ?」
俺はなぜそう呼んだのか気になりそう問いかけるとサグメも興味ありそうに耳を傾けた。
「あ~さっき確かに言いましたね。それは私はか───痛っ」
「なんだ!石が飛んできたぞ!」
ソリアが理由を説明しようとした瞬間どこからか石が飛んできた。誰だこんな美少女に石を投げたクソ野郎は!
俺は周りをキョロキョロする。
「兄さん!あそこ見て!」
サグメは投げた奴を見つけたのか丘の上を指さして俺に教えてくれた。そこにはクソガ…子供が3人楽しそうに石をこちらに構えていた。
こいつら!人に石を投げるなと教わらなかったのか?俺はそいつらに注意するた声を大にして言った。
「おい!!ガキども!人に石を投げたらダメって教わらなかったか!?」」
そう言った瞬間ガキ達はこそこそ話した後に笑いながら再び石を投げてきやがった。
「魔族と話してる奴なんかに偉そうに言われたくないね!」
「そんな化け物と仲良くするとかお前らも同類だよ!食らえぇ!」
なるほど、そういう事か。俺達がソリアと仲良くしていたのを気に食わなかったって事か...
さっきソリアも言っていたな”こんな私に優しくしてくれてありがとうって”正直この世界が魔族にどう悪いことをされたのか事情は知らないが。
「レンさん、姉さん、ごめんなさい...私と関わったせいで…私はすぐに離れます…」
俺とサグメは落ち込んでいるソリアを見てお互いこう思っただろう。この世界の事情は分からんけどソリアは可哀想だから何とかしてやりたい。そしてあのガキ達クソうざいなと!
「──────ッッ!!」
俺はサグメとソリアに当たりそうになった石をキャッチして…
「なあサグメ。あのクソガキどもに投げ返そうぜ!目指せヘッドショットだ!」
俺がそう言うとサグメもニヤリと悪そうな顔をして親指を立てた。
流石双子の妹だ。こいつは本当に俺と気が合う
「ねぇねぇ兄さん!私は兄さんに石渡していくからどんどん当ててね!応援するから!」
「了解!よーし見てろよ!5年間培ってきたピッチャーを舐めるなよ!せいぃ!!!」
俺は距離があったとは言えそこそこ本気で子供に向かって石を投げ返した。この世界は弱肉強食なのだ、害があるなら子供だろうが関係ない。
それにやられっぱなしは悔しいしな
「イッテェ~~~なんであんなに綺麗に飛ぶんだよ!」
「てめえよくも俺の仲間を!」
ガキを一人仕留めると仲間が悔しそうにしていた。ざまぁみやがれ!
「よしまず一人。年上舐めるなよ!悔しかったら当ててみろ~」
「流石兄さん!一発でヘッドショットするとかこれから石投げ職人になれるよ!」
なんだよ石投げ職人ってまあいい!───せいぃ!!
「ぐはぁ!」
2体目!
「おら!!」
「げっほぉ」
よし3体目。これでコンプだ!
俺はやったぜ!っとドヤ顔をするとサグメは親指グットポーズをしてくれてソリアは拍手をしてくれた。
「やったね兄さん!私子供相手でも容赦しない兄さんの事好き」
「だろ?俺は相手が子供でも女でも手は抜かない男だ」
俺とサグメはハイタッチをして喜び合った後に大声で子供達に注意した。
「お~~い、子供達!二度とこの可愛い魔族の女の子に石なんて投げるなよ~次したら倍返しするからな!!!」
「お...覚えとけよ!この事...父上に報告してやるからな!」
いかにも悪役が撤退する時の名台詞を言った後に、子供たちは頭を押さえて泣きながらそそくさと帰っていった。
「兄さん私この世界の子供可愛げなくて嫌い」
「それな!」
「凄いです。レンさん姉さん。私は今まで嫌がらせされてやり返す事は出来ずに、追い払う事すらできませんでした。」
ソリアはなんだか嬉しそうと同時に悔しそうにしていた。今まで自分には何もできなかったからだろうか?
魔族ってだけで石を投げられる。俺の知らないだけでもしかしたらもっと酷い事をされたのかもしれない。
俺はそんな彼女を励ます事が出来るか分からないが…
「ソリア。俺達はこの世界で魔族がどのくらい邪険にされてるか分からないけど、少なくとも俺とサグメはソリアの味方だからな」
「うん兄さんの言う通りまた子供だろうが大人だろうが危害を加えてくるなら私達が追い払ってあげる。このサグメお姉さんに任せなさい。」
サグメは最初に出会った時とは違い、ものすごく優しくソリアに接していた。
その姿はソリアの本当のお姉ちゃんみたいでなんだかお似合いと言うか、尊い!
どういう風の吹きまわしだと思ったが、そういえば姉さんって呼ばれて上機嫌だかか?
「2人とも…ありがとう…」
ソリアはそう言うと泣きながら俺とサグメに抱きついてきた。俺達はそっと背中に手を回し優しく抱き返した。
「私ぐす……こんなに優し…くされたの生まれて…初めてですぅ」
泣きじゃくってるソリアをサグメは優しく頭を撫でていた、俺達はまだ会ったばかりで泣く事は出来なかったが、
ソリアはずっと差別されて優しさを知らなかったって考えたら…なんか…切ないな…。
ここで俺は再びあの死神のスマイルの言っていた事を思い出した。魔王と親友か…いつか必ずと。
ソリアはしばらくして泣き止むとすっかり元気を取り戻していた。
やはり可愛い女の子は元気じゃないとな!
「二人とも!今から私のお家に案内します!お礼をさせてください!」
「よっしゃ!可愛い女の子の家に行けるぜ!最高だ」
「兄さんそんなキモイ事言うから彼女も出来ないんだよ」
「うるせお前は俺に彼女出来そうなら妨害する癖にこのブラコンめ」
そんなこんなで俺達は少し歩いた後、家なんか建てられそうにない森に入ったところで聞いてみた。
「それでソリアの家はどこにあるんだ?」
そういうとソリアはキョロキョロ周りを見渡した後……
「うん!ここなら大丈夫!」
俺とサグメはうん?と首を傾げ不思議そうな顔をして見ていると
ソリアがぶつぶつ何かを唱え始めると目の前の地面に人が一人入れそうな四角い扉が現れたのだ!
「ちょっと今の何を言ってたんだ?」
「今のは魔法の呪文を唱えていました!そしてようこそ我が家へ!」
そう言った瞬間ソリアは扉を開けて入っていったので俺はその中を見てみたら………
「なぁ……なんだこれ!!すげぇ!!!────────」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます