4話 転生と謎の少女…
「よし!じゃあ二人はこれで異世界にようやく行けるっすね!最後に質問はあるっすか?」
俺達は指定した魔法も貰いようやく行ける準備が整ったので最後に聞きたい事があればスマイルに聞けるらしい。
なかなか個性の強い神様だったけどもう会うことはないはずだ…
過ごした時間は短かったが、楽しかったなと思っているとサグメが聞きたいことがあるらしく、口を開いた。
「質問していい?私達って異世界の言葉って話せるの?」
サグメは不思議そうな顔をしながら質問をした。
確かにそうだ。気が付かなかったが、今スマイルとは日本語で話していた。
流石に向こうに言って言語の勉強とか無理だぞ…俺英語の通知表1(5段階中)だし…
「大丈夫っすよ!さっき君達に魔法を与えた時に一緒に言語魔法を脳内に入れたっすよ!向こうでも日本語に変換されるっすよ!多分!!!」
「多分?兄さん、この人ふざけてるよね。」
サグメはこいつ舐めてんのか?と、誰でも分かる顔をして言ってきたので、俺は呆れた顔を見せ、”同感だ”と感じさせる顔をみせる。
まあ、流石に大丈夫な事を信じよう。もうこいつとは会えないしな。
俺達2人は呆れながら意思疎通をしているとスマイルが”パチン!”と切り替えるように手を叩き急に元気よくしゃべりだした。
「じゃあ、君たちを送るっす!離れ離れにならないように手を強く握っててくださいっすよ!」
何でだ?と疑問に思ったがどうせすぐ理由なんて分かる。俺からサグメの小さな手を握った。
やはり女の子の手はすべすべしていて柔らかいなと無意識だが心の中でそう思う。どうせこのブラコンの事だ。俺が握ってもこいつは嫌がったりしないだろう。
そして俺はタコのようにサグメの手を指の間まで確認するように触った。
「ちょ兄さん!、なんか手の動きが気持ち悪いよ!」
ち!バレたか!まあいい!俺は自分の手とは違う女の子特有の感触を楽しんでいたら指摘されたが、サグメは全く嫌な顔をしていなかった。
むしろ頬を赤くして喜んでいそうな顔をしていたが、以前それで行けるぞこれ!と思い調子に乗りセクハラをしたら蹴られたので今回はやめておいたのだ。
こいつ無駄に攻撃力が高いからな…警戒をおこたってはならない。じゃないとこちらが大ダメージだからな。
その光景を見ていたのにも関わらず。スマイルは割り込むように話に入ってきた。
「もっと!お互い引っ付いた方がいいっす!上空で離れ離れになるっすよ!」
スマイルが少し強めに焦りながら促してき為、俺とサグメも動揺しながらも言われるままに、まるで恋人同士が抱き合うように手は後ろに回し強く抱きつき合った。
普段なら妹のだが、柔らかい胸が当たってムフフとするのだが今回は不安が勝つ。しかし、上空?空でも飛ぶのか?転生ってワープで最初の町に行けるものだと思っていたが…
サグメにスマイルの上空?とか言ってた事について話そうと思っていたが、こいつ…俺の胸の中に顔を埋めていやがる。
こうなったらスマイルに答えを聞こうとした瞬間に謎の水色っぽい光の輪が俺達を囲むように出現した。
「じゃあ君達!今から上空1万メートルからの落下で地面に思い切り叩きつけられるが、絶対にケガとかしないから安心してくれっす!」
「は!?落下!?おいサグメ!またこいつが変な事を言ってるんだが…ってクンクンすんな!」
おいおい……これから一体何が起こるんだ…
全身に冷や汗がジワリと出て来て、唯一の理解者のサグメに今から起こる事のヤバさを共有しようとしたがこいつはスマイルの話を全く聞いていなかった。しかもさっきから俺の胸に顔をうずめて匂いを嗅いでいやがる!
このクソブラコンめが!抱きついてからこいつ少し変態で気持ち悪くなってるな。別に俺はいいが、そんなに好きならあとで乳揉んでやる!
「じゃあ!行ってらっしゃいっす!向こうでは死なないでくださいっすよ!」
スマイルがそう言った瞬間俺達の周りを囲んでいた水色の輪の光が強くなりだし、
次に瞬きをした時俺達は物凄い勢いで”落下”をしていた!
「ちょっ兄さん!なんで私達空中から落ちてるの!?さっきまできれいなお花畑に居たでしょ!?」
こいつはやっと今置かれている現状に気づいたらしい。サグメは優秀だと思っていたが時々頭の知能が下がるときがある。
「このバカ!今俺達は異世界の上空にいるんだよ!ダメージがないらしいけど、このまま思いっきり地面に叩きつけられるんだよ!」
「へぇ~死なないんだったら、そんなに焦らなくてもいいじゃん」
そういうとサグメは安心したような顔をして再び俺の胸に顔をうずめる。
サグメは全く怖がってない!むしろ楽しそうにしていた。やっぱりこいつは俺の為に一緒に死んだり色々イカれてると再認識したのであった。
いい加減顔に頭をうずめているのにイライラして離そうとしていたら下に大きなオレンジ色の屋根が印象的な大きな町が見えた。
上空から町を見た時には感動のあまりか、今も落ち続けているのを忘れるぐらい
綺麗で美しく、言葉が出なかったが何とかひねり出した言葉が…
めちゃくちゃ綺麗な世界じゃないか!!!
そう言うと思わずテンションが上がった。唐突にあの神は俺達に渡す物を渡したら速攻で飛ばしやがったからな!でも今はそんな事を忘れさせるぐらいこの世界は綺麗で美しいと感じたのであった。
中世ヨーロッパ風っていうかとても大きな町並みで周りにはRPGゲームのように草原が広がっている。
ここは間違いなく異世界だ。少なくとも言えるのが海外とかそんなんじゃない。
俺は空中でこれからどういう生活をしてどういう冒険が出来るのかを考えていたがそんな場合ではなくなってきた。
なぜなら…
「てか、お前はいつまで顔を埋めているんだよ!いい加減顔出せこのバカ!」
落ちる事は想像よりもずっと早かった。上空では地面の事を忘れるぐらい離れていたのに気が付けば町は大きく、嫌でも着地が果てしなく広がっているぐらい近くなっていたのだ。
俺はこのどうしようもないブラコン妹の顔を胸から出して下を見せ確認させた。
「兄さん下に女の子がいる!このままだったら直でぶつかるね♪」
「可愛く言うな!下に人いるのか?よく見えたな!でも俺達は大丈夫でもあの人が死んだらスマイルと会う可能性があるんだぞ!」
この野郎下の人が見えたらしいがどうでもいいようだ。だんだん近づいてくるとそこには、金髪の髪が印象的な少女が立っていたので、
俺は気づいてもらえるようにその子の特徴を大声で叫び避けてもらうように促した。
お───い!そこの金髪の女の子─────離れろ!!!
「………?………!?」
その声が届いたのか、その女の子は周りをきょろきょろして上に目を向けた後、俺に気づきすぐさまその場を離れ避けようとしてくれた。
そして”ズドン”と丸い石が勢いよく土に落ちるような鈍い音とあたり一面には土埃がしたが思ったほど地面に穴は開かなかった。よくアニメである派手な登場をしてさっき真下に居た女の子を驚かせようとした3秒で考えた計画がパーになってしまった。
土煙を手で払うとそこにはさっき上から見たと思われる女の子と目があったが人間ではなかった。なんと頭には角が生えていたのだ!まるで、魔族のような…でも一つ言えることがある。それは”めちゃくちゃ可愛かった!”
髪は金色のツインテールで白いワンピースがめちゃくちゃ似合っている。まるでお人形のような可愛らしい少女だ。この子…お洒落と自分の属性を理解していやがる!!
「兄さん!あの勢いで落ちてきたのに本当に痛くなかったね!」
こいつは目の前にこんな可愛い子がいるってのにそっちかよ!確かに凄いと思ったけど、それはあとだ。
「あの………だぁ、大丈夫…です…か?」
その可愛い女の子は俺とサグメを交互に見ながら不審そうな目をしてたけど心配をしてくれた。いや、この場合警戒の方が正しいだろう。
それでもこの世界の初めての住人だ。俺は元気よく言葉を返す。
「おう!俺達は平気だよ。心配してくれてありがとな!」
そう言うとその子の目が一変したさっきまでとは違う。まるで獲物を見つけたような目だ。
そして体を小刻みにブルブルと震えだし………
俺はビビってしまいサグメの足にしがみついてしまった。
「サグメ!この子なんか怖い!」
我ながら情けないと思いながらも妹は俺の頭を撫でながら代わりにその子を警戒する。
しばらくしてようやくその子は口を開くと……
「やっと………やっと見つけた!!!私のお兄ちゃん!!!」
「「─────はぁ???」」
俺達2人は漠然としながらその場に固まった。
うん?お兄ちゃん?この子は上から落ちてきた俺に何を言ってるんだ?
しかし訳の分からない事の連続だが、お兄ちゃんか────”なんて素晴らしい響きだ!”───
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