第27話 EP4 (16) 痣の治療方法
「ウォード、君は外科手術ができるのか? もしくはその辺の外科医と相談できるか?」
「先生、たぶん近辺の病院の先生にお願いすることになると思いますが、少し検討させてください」
ウォードがそう答えた時、オーラの脇からレベッカがひょっこり映像に出てきた。
「レベッカです!」
レベッカ自身に経験がそれほどある訳では無いのに、治療についての判断は的確らしく、出しゃばってきてウォードにコメントした。
「簡単な外科処置さえできれば、ニーモもいるし、たぶんそこですぐ治せるよ。ウォードは縫合とかは大丈夫ですか?」
「まあ、できないことは無いけど……」
ウォードは自信無さげにレベッカに答えた。そのやりとりを聞いていたニーモが
珍しく積極的に治療に参加したがっている。
「レベッカ、聞いていい? 皮膚細胞? 皮下組織? その辺の処置で私が何かできることはないですか?」
「もちろん、ニーモの力も必要よ。皮膚細胞を増やして、移植先と馴染ませるように成形して頂戴。慣れないと少したいへんな作業だけど頑張れば何とかなる。あとね、移植する他人の皮膚があれば早いよ」
すると、ニーモがあることに気が付いて、それまで黙って聞いていたエリックの方を向いた。
「エリックさん。夕方の治療で思ったんですが、おなかの皮膚が余っていますよね?」
エリックもニーモの言わんとすることが分かった。
「ええ、たるんでます」
「もし適合したらですが、その皮膚ください。アーシャさんのお尻に移植します」
「それは構いませんが、アーシャ、いいんですか僕の皮膚なんかで……」
レベッカが言った。
「どんな皮膚でも、ピッカピカで移植先の周りと同じ皮膚に変質させてあげるわよ」
するとアーシャも言った。
「お任せします。もう皆さんでそんなにしてくれるなんて……」
アーシャは泣き始めた。クレアがなだめる。
レベッカが言った。
「基本手術だけはウォードがやって。その後の仕上げは私がそっちに行って手伝ってあげるから」
「いやいや、ちょっと責任重すぎる。専門家の方がいい」
ウォードがしり込みするとコロが言った。
「手術はメルの力を借りよう。呼んでやるよ。メルがいればどんな場所だろうが、下手くそ医者だろうが、問題無く手術のガイドができる」
「下手くそ医者か……」
ニーモが叫んだ。
「よし、モーテルでやりましょう!」
「オペかー、無理だよ、僕には」
クレアが言った。
「ぶつぶつ言わないの、必修科目で実習とかやって、一応わかってるんでしょう?」
「何年前だよ」
「アーシャが終ったら、次は私だからね!」
「明日にしようよ」
「だめ!」
アーシャはお店の人に相談して、レストランを早退することにした。アーシャとウォード達はモーテルに移動した。借りた部屋の中では一番広いザックの部屋を治療室にすることにした。
コロがメルを呼び出した。メルがニーモ以外のメンバーに顔を見せるのは初めてである。
グレーの髪を後ろの高い位置で縛り、ウェーブがかかったポニーテール。小さな顔に大きく優し気な目。やや小柄なすらりとした体に白っぽいワンピースと黒っぽい半袖の上着をまとっている。
「初めまして。メルです」
やっぱりニーモにそっくりだ。
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