第17話 EP4『箱』狂騒曲とウェイトレス(6)
クレアとニーモが急ぎ足のウェイトレスを目で追った。
「アーシャっていい娘ね」
「いい人ですね」
二人がなおも呟く。
「スタイルいいよね」
「モデルさんみたいですね」
クレアは少し羨ましそう。ニーモはそうでもない。
「ニーモさあ、エリックのこと痩せさせたじゃない?」
「はい、上手くいきましたね」
「あのさあ、私にもやってくんない? あとで」
クレアのいきなりのリクエストに三人とも思わずクレアを見る。
「え? クレアさんは別にそういうのが必要な体型では無いと思いますけど」
「私はアーシャのようになりたいのよ」
ザックが口を挟む。
「おまえ、ニーモに簡単にやってもらおうなんて、それは横着なんじゃないか」
「何よ、ザックは黙っててくんない? 私はニーモにお願いしてんの!」
そのニーモは悩む。
「うーん、それはどうかなあ?」
「どうかなあ、ってどういう意味?」
「何て言うか、ぎり健康の人にうまく力を使えるかどうか……」
「は? よくわかんないんだけど。同じ事やればいいだけでしょ。あとぎり健康ってどういう意味? 当回しにちょっと太めって言ってる?」
「俺にはそう聞こえた。図星だな」
「ばかザック!」
ウォードが割って入った。
「クレア、医者もそうだけど病気の治療ならできるけど、ダイエットのお手伝いは少しやりにくいんだよ。治療ってリスクゼロじゃないから」
「ウォード、あなたまでつべこべ言うの? 女の切実な問題なんだから、それ以上口出すと、後が怖いわよ」
「うわ怖、わかった。ごめん」
「仕方無いですね。じゃあ後で試しましょうか? うまくいくかどうかわかりませんよ。逆に太くなるかもです」
「え? そんなリスクあるの?」
「……嘘です。それは無いです」
「もう、ニーモったら……」
そう言って一拍おいて、クレアはいきなりニーモの脇腹をくすぐった。
「こいつー 許さん」
「きゃははは、やめてください」
結局仲のよい二人である。料理が順次運ばれてきた。
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