第16話 EP4『箱』狂騒曲とウェイトレス(5)
「お客様、どうぞこちらのお席へ」
アーシャはエリックを奥の席に案内して行った。そのままエリックと談笑しているアーシャの姿が遠目に見える。すぐにアーシャが口を大きく開けて驚き、慌てて手で隠した。おそらく今日の日中まで太っていたエリックが自分だということを白状してアーシャを驚かせたのだろう。
そうこうしている内にクレアが待ちきれないといった感じで言った。
「ねえ、そろそろ料理オーダーしましょうよ。ウォード、選んだの?」
「ああそうだな、ごめん。えーと、じゃあお
「アーシャさーん」
ウォードが答えるや否やクレアが叫んだ。アーシャとエリックがこちらを向いてにこりと笑い、アーシャがこちらに歩いてきた。
「ご注文はお決まりですか?」
「ええ、あなたエリックといい感じね」
「あ、はい。驚きました。あのモーテルにいらっしゃったお客様と同一人物とは思えませんでした」
「そうよねえ。あの体の変化この娘がやったのよ、ニーモって言うの」
「え、そうなんですか?」
アーシャが驚いてニーモを見る。ニーモは微笑みながら頷いた。
「はい。私です」
アーシャはまたまた目を丸くした。スラリとした長身でやせ型の体形。さらりとした髪が顔を半分隠している。
「後で詳しく教えてください。ではまずご注文を伺います」
アーシャは料理のオーダーを聞き取った後、メニューを集めながら言った。
「みなさんはご旅行でこちらにいらしたのですか?」
すると、ウォードが言った。
「旅の途中なんだ。|ウィ
「あ、そうなんですか。どちらに行かれるのですか?」
「最終的にはアトランティスだけど、あれこれ立ち寄って時間をかけて行こうと思っている」
「アトランティス…… いいところらしいですね。ゆっくり旅行されるなんて素敵ですね」
アーシャは客と話しをする事が好きらしい。ウォード達も積極的に話しかけてくるアーシャのことが段々気に入ってきた。良い性格のようだ。
「まあね。ここウィズモアも気に入ったよ。いい場所だね」
「ありがとうございます。あ、オーダー出してこなきゃ。すみません。また伺います」
アーシャはペコリとお辞儀をして、そそくさと厨房の方に歩いて行った。
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