第15話 EP4『箱』狂騒曲とウェイトレス(4)
ザックとクレア、ニーモが飲み物を飲んでウォードをしばらく待っていると、
彼はようやく店にやってきた。
「やあ、みんな。遅くなった」
「「ウォード、遅いよー!」」
クレアとニーモが口を揃えて言う。ウォードは帽子を取り、上着を脱ぎ、空いている座席に座った。隣のザックも呟く。
「ウォード、随分時間がかかったな」
「悪い。いや、まったく学会の連中ときたら…… 至急って割には細かいんだよ。新しい研究会を至急立ち上げるから幹部になってくれってさ」
「何の研究会?」
「箱だよ。ニーモの腰のやつ」
ウォードがデバイスを軽く指さすと、他の三人はつられてデバイスを見た。今はオフ状態になっており動作はしていない。
「どう言う事だ?」
ウォードはメールの内容をかいつまんで説明した。
「――という事だ」
「え? 何、他でも箱が見つかってもう応用されているのか?」
「そう言う事だ。特にオーラ博士のところではニーモと同じように被験者に特殊な能力が
「オーラ博士って?」
「精神科の他に形成外科や薬科でも先端を行く天才マルチドクターだ。僕も交流がある」
ウォードとザックがそんな話をしていると、ウェイトレスがやってきた。
「こんばんは。アーシャと申します。当店の今日のお薦めは……」
アーシャはすらすらとシェフお薦めの料理を説明した。
ウォードはそんな彼女の様子を見て気が付いたことがあった。
髪の毛にほとんど隠れているが、おでこから耳にかけて大きな痣があるようだ。
「では、ご注文が決まりましたらお呼び下さいませ」
アーシャは離れていった。
すると今度は入口から一人の男が入って来た。
「あ、エリックさん?」
ニーモが叫んだ。エリックもその声にこちらに気が付きやってきた。エリックは今日モーテルで、ニーモに大きな体を治してもらった男性である。痩せたばかりか、車いすに頼るしかなかった脚までニーモに治してもらっていた。
「先ほどは皆様本当にありがとうございました。車いすを使わずに自分の脚でレストランに来るなんてしばらくぶりです」
「今まではどうされていたんですか?」
「ルームサービスですよ。出前と言った方が正しいですかね。このレストランにもお世話になっています」
「へー、そうだったんですか」
「はい」
エリックはにこりと笑った。そのルックスは……モーテルで見た時よりもさらに明るく、イケメンになっていた。クレアが少しポーッとしている。惚れたか?
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