エピソード2 ウィズモア飛行場

第3話 EP2 ウィズモア飛行場 (1/3)

【エピソード2 ウィズモア飛行場】


 ウォードとニーモ、そしてザックはウィズモアという町の郊外にやってきた。クレアには今日の宿泊場所を教えてある。夕食は一緒にとりたいと言っていた。


 ニーモには箱(グレーズドケース)が付いている。これを付けてさえいればニーモは何も問題がない。しかし二十四時間箱を付けっ放しにしている訳では無いし、医者として、いずれはこの箱が無くてもニーモが生活できるようにしなければいけないとウォードは考えている。


 そのためウォードは積極的な活動中でなければ、できるだけ日中も箱を外したいと思っていた。ザックもそれには同意見だった。


 ザックは元々技術者であり、この箱を見つけ出してくれたのも彼だった。メンテナンスも彼にまかせている。


 ウォードとザックに共通しているのは金がないということだった。ザックは定職についておらず、その日暮らしであった。二人はこの日もウィズモアの町で日雇いの仕事をすることにしていた。


 三人がやってきた飛行場は、とても広いアスファルトと緑が遠くまで広がる場所だった。通常は使用されてない予備基地だ。


 彼らの今日の仕事はその飛行場の草刈りであった。三人は少し中に入ったところにある木陰のベンチまで来た。ウォードはニーモをベンチに座らせた。


「ニーモ、今日ここで僕とザックは仕事をする。悪いけど君はここで待っててくれ。午前中だけ、三時間くらいだから」


「わかった。何の仕事をするの?」


「草刈りだ。奥の方まで行くからここは見えないけれど、誰もいないし何も無いから心配ない。せいぜいへびが出るくらいだ、まあ気を付けてな」


「え、へび? やだなー」


 今度はザックがニーモに訊く。


「体の調子はどうだ?」

「大丈夫。移動中、大人の体でいると少し疲れるけど、今は平気」

「何かあったら携帯のこのボタンを押して連絡してくれ。こうだぞ。わかるな?」


 ザックが携帯デバイスの操作をニーモに教えた。以前は覚えていたけど今は少し難しい……

 今ニーモは十八歳くらいの体になっているが記憶力が低下している。


 箱を外すと体が十歳くらいに縮む。体自体は軽くなり調子良くなるが知能がさらに一時的に低下する。


「しばらく、箱のスイッチを切ってもいい?」

「もちろんいいよ。頭が少しぼやけるから気を付けてね。へびに嚙まれるぞ」

「うん、気を付ける」


 箱の実体はニーモの腰につけているデバイスだ。デバイスを起動すると箱状の光が人間の体を覆う。デバイスの出力等はザックが調整できる。


 しかし難解で高度な未知のチップが使用されており、デバイスの全てがザックに分かる訳では無い。


「じゃあニーモ、行ってくる。お昼には戻る」


 ウォードとザックは遠く離れて行った。

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