箱宇宙
桃山台学
第1話
ほら、これが「箱宇宙」だ。そうか、見るのは初めてなんだね。どういうものかって?
だからさ、「箱庭」ってあるだろう。あれの宇宙版。もちろん、ミニチュアだぜ。でもさ、よくできてるんだ。地球儀というよりも入れ子構造的なところはあるよね。だって、宇宙の中の宇宙なんだからさ。
どうやって遊ぶのかって。
箱庭もさ、砂に模様を描いたり、石を置いたりして、自分で作れるよね。精神を安定させる効果もあるらしい。基本的には、あれと同じさ。だから宇宙を作るの。材料があってさ、配置するんだよ。
いや、別に銀河系とか太陽系を作らなくてもいい。まあ、でも、星を並べて、あるものの周りを回らせたほうがいいよね。そのほうが楽しいから。だから、中心の星を決めたら、星を選んでさ、恒星というのかな、軌道を描いて、回らせてやるんだ。そうすると、ずうっと、回っているよ。モビールに近いのかな。
これを眺めているとさ、悩みとか、あまりどうでもいいような気になってくる。いや、あるんだよ、俺にも。小さなことだけれど、モヤモヤすることがさ。
あ、これはね、安いやつだから、彗星とかはついてない。小惑星群とかはオプションみたい。でも、この箱の大きさだからさ、基本的なところだけでも楽しいだろう。それに、あまり箱の中にいろいろ詰め込み過ぎるよりは、京都の竜安寺の庭じゃないけれど、枯山水というのかな、あまりアイテムは多くないほうがいいんだと思うな。
ミニチュアの宇宙は見ていて見飽きないし、なんだか創造主になったような気分にもなれる。あ、ブラックホールは置いちゃだめだよ。全部吸い込んじゃうからさ。
でもさ、もし、こういう中の星がちゃんとミニチュアじゃなくて、本物の星でさ、それで、その中には地球みたいな星もあってさ、生命体が一生懸命生きていたら、と考えると何かおもしろいよね。
そして、その中の一人が、やっっぱり「箱宇宙」を作っていたりしたらさ、と思わないかい?
箱宇宙 桃山台学 @momoyamadai-manabu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます