番外編⑧姫の存在

 「ユリアンさん、王子と姫って存在するんですか?」

 「どうした急に」

 「いや、城では王様にしか会ってないので」


 今更ではあるが、俺と日和は王様には会っている。

 しかし王子と姫には会っていない、何なら存在するのかすら怪しい、もしかしたら城にいないのではないか、そんなことを考えていた。


 「王子と姫、特に姫は今、とある国の夜行会に参加している。まぁ……そろそろ帰ってくるはずだが……」

 「えっ、本当にいたのか」


 きちんとこの世界に存在していたことに、俺は少し驚いていた。


 「あぁ、この世界に転移者達、つまり君達が来たからな、流石に知らせない訳にはいかない」

 「なるほど……いつ頃城に帰ってくるんですか?」

 「確か2日後には城に帰って来てると思うが……まぁその場合、春兎には一度城に行ってもらうことになるがな」


 ユリアンは少し笑っていた。

 しかし俺には少し心配することがあった。


 「でも俺の《スキル》がある以上、行かない方が良いのでは?」


 正直俺は行ってはいけない気がした。

 もし劣情王の影響が及んでしまえば、最悪俺は処刑されるのではないか、何となくだけどそう感じた。


 「多分…大丈夫だ」

 「えっ…」


 俺の顔を見て。ユリアンは笑っていた。


 「これは私のかんでしかないが、多分大丈夫だ」

 「え、そんな理由?」

 「なんだ信用ならないか?」

 「い、いや…」


 ユリアンの言う通りなら大丈夫なのだろうか、とにかく姫がどんな人か気になるところではあった。


 「ところで、ヒヨリはどうした」

 「あっ、日和なら…」


 一方の日和はベットで寝息を立て、横になって寝ていた。

 「すぅ──すぅ──」


 

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