番外編①しりとり

 「ねぇ春兎くん、しりとりしない?」

 「どうした急に」

 「じゃあいくよ」

 「強制!?」


 ベットの上で、俺は日和と一緒に座っていた。

 しかも強制的にしりとりを始めた。


 「魔眼まがん

 「ちょっとまて」


 唐突にしりとりが終わった。


 「魔眼まがんの「ん」、でしりとり終わったんだけど?」

 「じゃあいくよ」

 「終わったのに?」


 どういうわけか、日和はしりとりを続けた。


 「裸眼らがん」 

 「また終わったけど!?」

 「じゃあいくよ」

 「何で!?」


 彼女が何をしたいのかわからない、なぜしりとりを続けるのか……。

 そう思っていると、彼女は顔をこちらに近づけて──。


 「んっ」

 「んん!?」


 唐突にキスをしてきた。


 「ほら、次は春兎くんの番」

 「……」


 彼女はこちらをジッと見つめていた。

 そして俺は、彼女の頬に手を伸ばし、そして顔を近づけた。


 「じゃあ……んっ」


 今度は俺から、彼女にキスをした。

 魔眼まがん裸眼らがんの「ん」で終わったしりとりは、最後にキスをするために口にした。

 「ん」、で終わった。

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