フェーズ2

 「ねぇ、そろそろ寝る…?」

 「……」

 「…?」


 春兎からの返事が無いため、彼女は彼の顔を覗き込んだ。


 「…寝てる」


 抱きしめられたまま、彼は寝息ねいきを吐いて寝ていた。


 「スゥー…スゥー……」

 「……」


 抱きしめた状態で、彼女はベットで横になる。


 「よく寝てるなぁ…」


 彼の寝顔を見つめながら、彼女は彼の唇にキスをした。


 「…ちゅっ」


 当然彼は寝ているため、反応は返ってこない、そのまま彼をぎゅっと抱きしめ、小声でボソッと呟いた。


 「もう少しだけ、触ってほしかったなぁ……」


 そしてそのまま、ゆっくり目を閉じる。


 (なんだか、抱き枕抱いてるみたい……)


 そう思うとニヤニヤが止まらず、少し笑いながら、そのまま彼女は寝た。


 (…ふふっ)


 ──どれくらい寝ただろうか、しばらくして、俺は目が覚めた。

 目を覚ました後、頭に何かが当たってる感触がした。


 (何だろう、少し柔らかい……)


 そう思い、気になって触ってみると、少し柔らかかった。


 (これは……枕かな?)


 その枕からは、とても柔らかい感触が伝わってきていた。

 何だが、餅のように柔らかかった。


 (……)


 その感触が気になって、しばらくの間触っていた。

 指を食い込ませたり、優しく揉んでみたりしながら、その感触を味わっていた。


 (そう言えば、いつ寝たんだっけ…?)


 気がついた時には寝ていたため、いつ寝たのか覚えていなかった。


 (えっと、確か……)


 寝る前のことを思い出す。

 日和の体を触ってて、申し訳なくなった後謝って、彼女に励まされて、そのまま抱きしめて──。


 (そうだ。優しく抱きしめられたんだった)


 俺は枕を触りながら、彼女のことを考えていた。

 彼女に抱きしめられた後、なんだか心地よくて、とても安心して、そのまま──…。


 (あぁ、多分その後寝たのか……)


 いつ寝たのか思い出すことができた。


 (でも、まだもう少しだけ──)


 俺は枕を触りながら、もう少しだけ寝ることにした。

 両手を使って、枕を頬に挟もうと手で触っていると──。


 「…んっ」

 (……ん?)


 今一瞬だけ、誰かの甘い声が聞こえた。

 気のせいかなと思いつつ、俺は再度枕を触った。


 「はっ…」

 (……)


 気になって、そのまま枕を触りまくった。

 するとその甘い声は、触るごとに聞こえてくる。


 「あっ…ふっ……んん……んっ」

 「……」

 「んっ……はっ…」


 やっぱり聞こえてくる。

 その声はやがて、何かを言ってるような声に変わってきた。


 「やっ…やめ……はっ」

 「……」

 「ねぇ…起き…んっ……て…なっ……んんっ」

 「……」


 恐る恐る声のする方を見た。

 声の主は顔を赤面させ、少し涙目になりながら、こちらを見ていた。


 「はぁ…はぁ……」

 「……」

 「お、起きた…?」

 「……」


 冷静になって、あたりを見回と、両手で彼女に抱きしめられた状態で、俺は横になり、胸を触っていた。

 どうやら枕だと思っていたのは、彼女の胸だった。


 「…あ──」


 俺はそっと彼女から少し離れた。

 彼女はと言うと、隠すように両手を胸の上に置いていた。

 未だに涙目で赤面しながら……。


 「あ、あの…ごめ──んんっ」


 謝ろうとした瞬間、彼女は俺の声を塞ぐように、俺の頬を両手で掴んだ後、そのままキスをした。


 「んっ……ぱぁ…」


 キスした彼女は、そのまま俺の目を見つめていた。


 「謝るなら……もっと早く気づいて……」

 「……」

 「…寝てる時以外・・・・・・なら、触って良いから……」


 そう言って、彼女は下を向いてしまった。


 「──ッッッ!!!!」


 何かに気づき、彼女は下半身に手を置いた。

 気になって俺も下を向いた。"その時"である。


 「あっ…」


 俺は思い出した。

 彼女は今、"オマンコ"丸見えで、何も下に履いてなかった。

 俺はつい彼女に聞いてしまった。


 「もしかして──履かずに寝た・・・・・・の?」

 「──ッ」


 俺の言葉で、彼女の顔は更に真っ赤になった。

 それも死にそうなくらい真っ赤な顔で──。


 「だっ、だって……君を抱きしめてたら……君が寝てて……」

 「……」

 「お…起こすのも嫌だから、そのまま私も寝て……」

 「……」

 「あっ…あっ──」


 彼女は背を向けながら、そのまま横にベットに倒れてしまった。


 「え、日和……さん?」


 俺は咄嗟に声をかけるが、彼女はこっちを向いてくれなかった。


 「うぅ〜、今は話しかけないで……」


 恥ずかしさでずっと向こうを向いていた。

 そんな彼女に何か言おうと、声をかけた。


 「あ、あの──」


 声をかけようとした。

 まさにその時である。


 「ウッ…な、なんだ……」


 突然頭に頭痛を感じた。

 しかもかなりの痛みで、思わず両手で頭を押さえていた。


 「あっ……がぁ……」


 痛みでどうにかなりそうだった。

 俺の様子がおかしいことに気づき、向こうを向いていた彼女がこちらを向いた。


 「え…だ、大丈夫!?」


 心配して俺に声をかけた。

 次の瞬間、彼女の付けていたネックレスが突然光り出した。


 「え、え?なに!?」


 突然ネックレスが光ったことに、彼女は驚いていた。

 俺はと言うと、頭痛とともに、謎のメッセージが頭の中に入ってきた。


 『奴隷に対する。一定の接触を確認』

 「な、何だ…?」


 明らかに《スキル》の影響だろう。

 痛みに耐えながらそう考えていると、メッセージは更に続いた。


 『これより《スキル》を、"フェーズ2"へと移行いこうします』

 「な…これはいったい……」


 そう言った途端、頭が更に激しくなった。


 「が、がああああああ!!!!」


 あまりの痛みに気を失いそうになる。

 そんな俺を見て、彼女は俺の肩に手を置いた後、必死に声をかけていた。


 「ねぇ大丈夫!?ねぇ!!」

 「うっ……があああ……」

 「え…春兎くん、春兎くん!!」


 彼女の声を聞きながら、俺は気を失った。


 「……ッ」


 いったい、どれくらい気を失っていたのかわからないが、ようやく俺は目を覚ました。

 俺は体を少し起こして、頭に手を置いた。


 「…痛く……ない」


 さっきまで感じていた頭痛は治っており、謎のメッセージも聞こえなくなっていた。


 「いったい、何だったんだ……」


 そう思っていると、扉を叩く音が聞こえ、誰かが部屋に入ってきた。


 「…春兎くん!?良かった」

 「ハルト、目を覚ましたのか?」

 「……二人とも」


 部屋に入ってきたのは、日和とユリアンだった。

 二人は同時に駆け寄ってきて、日和だけは俺に抱きついた。


 「おわっ」


 思いっきり抱きしめられ、声が少し出てしまった。


 「良かった……目を覚まして……」


 日和の方を見ると、目を閉じながら泣いていた。


 「…心配かけてごめん」


 俺は日和の頭を撫でた。

 そしてユリアンは俺に近づき、事情を話した。


 「一日中気を失っていたぞ、大丈夫なのか?」

 「一日中……そんなに気を失ってたんですね。俺は」


 頭痛の後、ずっと気を失っていたことを知って、少し驚いた。

 しかも丸一日……。


 「それで?君自身は何があったんだ?」


 ユリアンは俺に、事情を説明するよう求めてきた。


 「えっと、実は──」


 俺は自分に何が起きたのか、丁寧に説明した。


 「"フェーズ2"、確かにそう聞こえたのか?」

 「はい、確かにそう聞こえてました」


 突如として聞こえてきた声、そして"フェーズ2"とは何だ?

 そう思っていると、涙を拭いながら、日和が口を開いた。


 「そう言えば、突然ネックレスが・・・・・・光ったのも、そのメッセージのせいかな?」

 「ネックレス、そうだネックレス!!」


 俺はすぐに彼女のネックレスを見た。


 「…何も、変わっていない…?」


 彼女のネックレスは特に何も変わっておらず、俺は少し安心した。

 しかし、ユリアンだけは何かに気づいていた・・・・・・・・・


 「なぁ、《スキル》の方は何とも無いのか?」

 「──ッ、ステータスオープン!!」


 ユリアンの言葉を聞いて、急いで《スキル》説明欄を開いた。


 「これは……」


 俺は説明欄をじっくりと読んだ。


 《スキル》【劣情王れつじょうおう

 『左手で触れた者の性的な欲望、または好奇心を強制的に向上させる。そして触れた相手が女またはメスだった場合、その者を"性的奴隷"として強制的に従わせ、扱うことができる。そして《スキル》を使われた者が他の人間に触れられた場合、《スキル》所有者以外は警戒者とみなされ、膨大な拒絶反応を引き起こす。そして《スキル》解除は、《スキル》所有者以外は"絶対"解除させることができない』


 「何も変わっていない…?」


 そう思い、一番下まで目をやると──。


 「なっ、何だこれ……」


 一番下の文・・・・・を見て、俺は驚いた。


 【劣情王れつじょうおう.フェーズ2】

 《解放条件》

 『奴隷契約した者とある程度の接触、または性的な行為』

 《追加効果》+3。

 『奴隷契約した者と性行為セックスした場合、無条件で子供を孕ませることが出来る』

 『近づいてきた(または近づいた)女性が契約者以外の女性だった場合、その者の理性を10分間のあいだ失わせ、強制的に性行為セックス以外考えられなくさせる。※若い女性ほど効果を受けやすい《25歳〜15歳の人族限定》※ただしこの場合、奴隷契約の《スキル》は発動しない。』

 『魔族の女性と契約を交わした場合、その者は《スキル》所有者を夫または旦那と思い込み、強制的に性行為セックスを迫ってくる』

 ※以上3つの効果は、《スキル》所有者以外確認することが出来ない。


 (なんか……色々とヤバい…!!)


 とんでもない効果が追加されており、俺は頭を抱えた。

 強制的に子供を孕ませるとか、性行為セックス以外考えさせなくするとか、しかも《スキル》所有者以外はフェーズ2の効果を確認できないとか、これかなりヤバい!!


 「……」


 《スキル》がフェーズ2になったことに、俺は冷や汗が止まらなかった。

 そんな俺に、何も知らないユリアンは話しかけてきた。


 「うーん、特に何も変わってないな」


 そう言って、ユリアンは俺に近づいてくる。


 「ッ、ユリアン来るな!!」


 俺は咄嗟にユリアンに大声で叫んだ。

 しかし、時すでに・・・・遅かった。


 「何だ急に、まだ体調……が……」


 手を差し伸べたまま、ユリアンは動かなくなった。

 ユリアンの行動を見て、日和も心配している。


 「ユリアンさん?どうかしましたか?」

 「……」


 彼女は返事をしなかった。

 しばらくして、彼女は日和に口を開いた。


 「日和、すまないが……部屋の外に出ていてくれないか?大事な話を彼としたいんだ」

 「えっ?でも──」

 「……わかった・・・・?」

 「ビクッ──」


 彼女の言葉で、俺も日和も、とてつもない何かを・・・感じた。


 「わ…わかりました……」


 彼女から"何か"を感じて、日和は部屋の外に出た。


 「おい、ユリアン…?」

 「……」


 彼女は日和を部屋の外に出した後、こちらに体を向け、ゆっくりとベットの上に上がってきた。

 そんな彼女を見て、俺は少し"嫌な予感"がした。


 「ゆ、ユリアン…さん?」


 俺は彼女に声をかけた。

 次の瞬間、突然彼女は着ていた服を脱ぎ出した。


 「!?」


 俺が驚いているのを他所に、彼女は脱ぐのをめなかった。


 「はぁ…はぁ……」


 彼女から甘い吐息が聞こえる。

 そして下着以外を全部脱いだ後、彼女は俺に勢いよく抱きついてきた。


 「ちょ、ユリアン…!!」


 声をかけるが、彼女は返事をしない、それどころか、唐突にブラを少しずらし、乳首を吸わせてきた。


 「ッ…!?」


 彼女の乳首で声を抑えられ、何も言うことが出来ない、急いで離そうとするが、彼女の力が強くて全く離れてくれなかった。

 そして俺は、遂に……。


 「──あんっ♡」


 彼女の体がビクッと動き、甘い声を発した。

 気が付けば、俺は彼女の乳首を吸っていた。


 「やっ…あっ……ふっ♡」


 彼女の声を聞いて、俺は更に乳首を吸い続けた。


 「はっ…そこっ……あんっ♡」


 しかもかなり色っぽい声で喘ぐため、いつ止めようか悩んでしまっていた。


 (……って、違う違う!!)


 俺は急いで冷静さを取り戻し、力が弱まってるであろう彼女を離した。


 「ユリアン、落ち着いて──」

 「ちゅっ」


 俺が声をかけると同時に、ユリアンはキスをしてきた。


 (こ、これは…!!)


 彼女のキスは日和と違って、何だかかなり荒かった。


 「はっ、ふっ…んっ……はっ…んっ」


 勢いに任せて何度もキスしてくるため、優しくキスをする日和と比べると、別の意味で興奮してしまった。


 (だ、ダメだ……これ以上は)


 もはやキスのことしか考えられない、そう思ったその時、彼女はキスをしながら、"俺のズボン"を脱がし始めた。


 「──ッ、ユリアン待っ」


 俺が声をかける頃には、ズボンは完全に膝まで下ろされ、彼女の手によって、下半身に刺激が・・・与えられた。


 「あっ……ふふぅ……」


 彼女は何度も、何度も俺の下半身を指で撫でたり、押したりしてくる。

 そんな彼女の行為に、思わず俺は──。


 (あっ、ヤバい)


 思わず、"勃起"してしまった。

 それを見てチャンスだと思ったのか、彼女は俺のパンツを下ろし、下から勃起したチンコ・・・・・・・が、勢いよく顔を出した。

 そして彼女は、自分のオマンコを何度も……何度も勃起したチンコに擦り付けてくる。


 (あっ……もう……)


 もはや俺の中には、「早く挿入したい」と言う、感情しかなかった。


 「じゃあ、"ヤろうか"……」


 彼女はそう言い、勃起した俺のチンコの皮を剥いて、自分のオマンコに挿入を開始した。


 「……」


 俺はどうすることも出来ないまま、この状況を、受け入れるしか・・・・・なかった。

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