第5話

「そういえば、皆しのぎはもう終わったか?」


「「「「はい! 終わりました!」」」」


ここにいる人以外にもわざわざ部屋から出て

きてリビングに来て、しのぎが終わったことを知らせに来た。燈彗は別にそこまでして聞き

たかったわけではなかった。この構成員達はとても優秀だからだ。すると、燈彗の仕事用の

携帯に電話がかかってきた。燈彗はワンコール以内に出た。燐も察してすぐに膝から退いた。この携帯から掛かって来るのは大体重要な内容で生死が関わる時だけなのだ。


「はい、燈彗だ。レイリアの店長であってるな」


『はい!あってます!亜挫魅さんのボスさんですよね?』


「あぁ、間違いない。何があった」


燈彗は、さっきの緩い雰囲気ではなく仕事

モードだった。周りのみんなもそれを察し燈彗の方に視線を向けている。内容は、酔っ払った人が店をボロボロにしているらしい。やはり、酔っ払っいは相手は面倒だな。


「そいつはどんな見た目をしている。格闘技経験はありそうか」


『いえ!たぶんそこら辺の半グレです。でも、

半グレの中でも幅を効かせてる楼威啊るいあの奴だと』


「なるほど、楼威啊か。奴らは罪のない女の人を泡に沈める奴ららしいからな。俺らのシマで守代払ってる店に手ぇ出す程舐めたことをしやがって...もう看過出来ねぇな。俺が出る」


燈彗は、そう低く答え部屋に行き仕事服に着替えた。周りの構成員達はビクッとしたため燈彗は急いで圧を抑える。オーラは隠しきれてなかったようだ。気をつけないといけない。


『ほっ!本当ですか!?助かります!』


「あぁ、そっちにはうちのやつを1人送る。そいつが来るまで奴の足止めを頼む」


『わ、わかりました!燈彗さんは?』


燈彗は、その問いにニヤリと笑いながら答える。その笑みで周りの構成員達は同じことを

思っていた。あ、楼威啊のヤツら終わったなと。


「決まってるだろ。俺は楼威啊を潰す」


『そ、そうですか..では失礼します』


「あぁ、壊れているものは楼威啊を潰してから全て直すから安心してくれ」


『あ、ありがとうございます!』


そして、燈彗は電話を切り携帯をポケットに

入れ構成員達を見た。我こそがと言ってくれる人しか居ないためとてもありがたいが、

ほとんどが未成年だ。未成年の者達には比較的安全のしのぎしか任せていない。そのため、

落ち着いた様子で手を綺麗にあげている成人はしている大人の奴を指名した。まぁ、未成年の奴もしっかり訓練してそんじょそこらの人間には負けることはないがな。


「じゃあ、春樹はるき。お願い出来るか?明日大学は朝早いのに大丈夫か?」


「!そこまで確認してくれているとはっ..!俺、感激です!!」


「当たり前だろ。全員大事なうちの家族だ。

体調管理だって怠ることはしたくない」


燈彗はそう言うと、全員が涙目で感動して

いた。傍から見たらなんかの宗教である。燈彗は当たり前のことを言っているだけである。

零夜も嬉しそうにしていた。


「はぁ、春樹がいいと言ってくれるならお前を

現場まで送る。店には迷惑をかけるなよ?殺るなら路地裏に連れ込んで...」


「はい!分かってますよぉー俺だってボス程ではなくても慣れてます」


「そうか、なら余計な心配だな。じゃあ...くれ

ぐれも死ぬなよ?死んだら飯抜きだからな」


燈彗がそう言うと、春樹は笑いながら「はい!」と元気に答えた。それに返事をするように春樹をレイリアに送り込んだ。春樹はこの組織の

最年長で最初に保護した人間だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る