第6話 ヤンデレ

「あいつ、本当に嫌い。なんで、いつもいつも秋人に色目使うのよ!」


彼女は、幼馴染の秋人あきとに恋する少女。

非常に嫉妬深い少女だ。

暗い部屋で、怒りを露わにしている。


「教師のクセに、ちょっと男子に人気あるからって調子乗ってるんじゃない?

秋人と仲良さそうに話してて、本当にムカつく。

あんなクソ教師が何でうちの学校にいるのよ!」


その教師は、確かに美人で優しい教師だが、

決して男子に色目を使うような教師ではない。

ただ、少し楽しそうに話をしていただけだった。

しかし、それさえも彼女は気に入らないらしい。


「あと、となりのクラスの安西。あいつ何?クラス違うのに

時々うちのクラスまで来て秋人に話しかけてくるの。

前に同じクラスだっただけでしょ?

それだけで仲良くなった気になってんじゃないわよ!」


安西は、秋人と1年の時に同じクラスになり、

隣の席というのもあって親しくなったようだ。

ただ、特別な関係というワケではなく、

単に友達として仲が良いだけである。


「あと、クラスの男子ども、男同士だからって、秋人と仲良くしすぎでしょ。

秋人と仲良くしていいのは私だけなの。

汚い手で秋人に気安く触れないでよ。秋人が汚れるじゃない!!」


男子同士、よく肩を組んだりする事はよくあること。

ただ、彼女には嫌な行為だったようだ。


「あいつも、あいつも、あいつも、あいつも、

みんなみんな、秋人を独占しようとしてるんだ。

秋人は私のものなんだよ。

あんたたちが気安く話しかけたり、触れたりしていい人じゃないのよ!」


そして、彼女の横には、裸で椅子に縛られ、

猿ぐつわをされている秋人がいた。

秋人は恐怖に怯えている。

体はガタガタと震え、失禁している状態だった。

目からは、大粒の涙が出ている。


「ねえ、秋人。もう、私たちの邪魔をする人はいないよね。

でも、あいつらには私たちが愛し合っているところを

分からせないといけないよね」


そう言って、彼女はテーブルを持ってきた。

そのテーブルには、たくさんの目玉があった。


「見て、秋人。これ、全部あいつらの目だよ。

いつもいつも秋人ばかり見つめて、秋人を独占しようとしたゴミたちの目だよ。

今日は、私たちが愛し合うところをしっかりと見てもらうんだ!」


そして彼女は服を脱ぎ、裸になる。


「ねえ、秋人。ずっとずっと、愛しているよ」


彼女は秋人のひざの上にまたがった。

そして、秋人を抱きしめる。


「ねえ、どうしてよ・・・」


彼女の表情が変わる。


「なんで、なんで、なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで!?」


彼女は、急に怒り出した。


「なんでよ秋人、あたしの事が嫌いなの?

私は女として魅力無いとでも言いたいの?

なんで?どうして?」


秋人は、縛られた状態でただ震えている。

ずっと、涙を流した状態で。


「そう、秋人もそうなんだ。

私より、他の人がいいんだ。

私の事なんて、ただの幼馴染程度にしか思ってないんだ」


彼女は、そっと秋人の首に手をやり、力強く絞める。

秋人はもがき苦しみ、助けてと言わんばかりの目をするも、

彼女はいっさい手を緩めない。


そして、秋人の息は完全に止まった。


「ダメだよ秋人、あなたは私だけを見ていればいいの」


そう言うと、彼女は秋人の目をえぐり出す。


「すごい、とても綺麗な目だね」


彼女は、えぐり出した目を持って、テーブルまで行く。


「もう、こいつらはいらないね」


彼女はテーブル上にある大量の目玉を、

拳で片っ端から潰していく。


「きらいきらいきらいきらいきらいきらいきらいきらいきらいきらいきらいきらいきらいきらいきらいきらいきらいきらいきらいきらいきらいきらいきらいきらい」


全ての目玉を潰したあと、テーブルの上に秋人の目玉を乗せる。

そして、秋人の目玉を彼女の方に向ける。


「ねえ、見て秋人。私の体、とっても魅力的でしょ?」

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