第4話 ストーカー

男は、寝不足に陥っていた。


「くそっ、あの女のせいで・・・」


男はストーカーされていた。

ほぼ毎日贈り物が届く。

それも、外出中に必ず届くのだ。


ただ、送られてくるわけではない。

家に帰ると、家の中にプレゼントが置いてある。

そして、「愛してる、永遠に愛してる」

と書かれた紙が添えてある。


ケーキ、服、ゲーム、

色んな物が置いてある。


しかも、男の好みに合わせたプレゼントだった。


「どこの誰だよ、このひら子とか言う奴は!?」


ストーカーの名前は、ひら子と言うらしい。

ただ、男はひら子と面識は無く、こんな名前の知り合いもいない。

つまり、顔も知らない女にストーカーされているという事だ。


「何度引っ越ししても、必ずプレゼントが届く。

何故だ、どうして俺の引っ越し先まで分かるんだ・・・」


警察にも相談し、盗聴器など仕掛けられていないか調査してもらったが、

何一つ見つからなかった。

それどころか、ひら子という名前の人物特定も出来ず、

警察も、どこの誰だか調査のしようが無い。

そのため、警察も男の妄言では無いかと疑っている。


「警察は頼りにならねえ」


男は、家の中に隠しカメラを設置し、

ひら子の正体を突き止めようとした。


「これで奴の正体を暴いて、必ず逮捕されるように仕向けてやる!」


翌日、仕事から帰ってくると、相変わらずプレゼントが置かれていた。

そして、録画された内容を確認する。


「あれ、何も映っていない」


カメラは確かに設置し、録画設定もしていた。

しかし、どういうわけか録画が停止状態になっていた。


「そ、そんなバカな・・・いったい、どうやって録画を止めた?」


翌日、翌々日、同じように録画を試みるも、

同じように録画はされていない状態だった。

しかし、プレゼントは相変わらず置かれている。


「ちくしょー、どうしてこうなるんだよ・・・」


男はノイローゼになっていた。

仕事も休み、しばらく家に引きこもっていた。

ただ、引きこもっている間にプレゼントが届く事は無かった。


「もう、外に出るのは嫌だ。あんな怖い思いをしたくは無い・・・」


ずっとこのままではいけないと頭では分かっていても、

家から出るのは恐怖で仕方無かった。


「どうしよう、どうすればいいんだ・・・」


男は、毎日悩み続ける。

そんなある日の夜、


「アイシテル」


女の声が聞こえる。


「ズット、アナタトイッショ、コレカラモ、イッショ」


ひら子の声?

男は、恐怖で体が震えだした。


「おい、どこだよ、お前ひら子だろ?

どこにいるんだよ、出て来いよ!!」


だが、ひら子は姿を見せない。

しかし、声は聞こえ続ける。


「ワタシハココダヨ、アナタノソバニイルヨ」


声は聞こえど、姿は見えず。

男の恐怖は増した。


「もう、やめてくれよ!俺は嫌なんだよ!

ひら子、お前の事なんて大嫌いなんだよ!

もし幽霊なら、とっとと成仏でもしてくれよ!」


男は、少しでも恐怖を紛らわすために叫び倒す。


「ダメ、アナタハ、ワタシトヒトツナンダカラ」


男は洗面台に行き、顔を洗って少しでも落ち着こうとした。

そして、鏡を見ると。


「アイシテルワ、コレカラモ、エイエンニ」


そこに映っていたのは男の顔。

のはずだが、違う。

いつもと違う表情の男が映っていた。


そして、不気味な笑みを浮かべながら、

鏡に映った男が言った。


「ワタシハ、モウヒトリノ、アナタ、

イッショウ、ハナサナイ」


「うわああああああああああああああああああああ!!!!!」


男は、意識を失った。




数日後、男は睡眠薬を用意していた。


「もう、こうするしかない・・・」


男は、大量の睡眠薬を一気に飲み、自殺した。


「これで、救われる・・・」


そして、男はそのまま永遠の眠りについた。


しかし、その後すぐに男の体が起き上がる。


「ダイジョウブ、コレカラワ、ワタシガアナタトナッテイキテアゲル。

コレデ、アナタトワタシハエイエン、イツマデモ、アイシテルワ」

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