第3話 バラバラ惨殺事件

殺人事件が発生した。

とある家の地下室で、その事件は起こった。


被害者は、18歳~16歳の少年5人。

遺体は、至る箇所を切り刻まれ、

細かくバラバラにされた肉の塊と化していた。


そして、その家の15歳の少女が逮捕された。

取調室にて、ベテラン刑事と少女が話す。


「なぜ、あんなむごい事をしたんだ。人間の所業じゃないぞ」


刑事は20年以上のベテランだったが、

これほどの凄惨な事件は初めて遭遇した。


「だって、あいつら私のお姉ちゃんをレイプして殺したんだよ。

なのに、あいつら捕まらずに、のうのうと生きてるじゃん。

だから、私が天罰を下したの!」


少女の目は、濁っている。

そして、不気味な笑顔を見せている。

姉の一件が、そうとうショックだったのだろう。


「いや、その5人が犯人だという証拠でもあるのか?」

「あるよ!あの主犯の奴、以前からお姉ちゃんに付きまとっていたんだもん。

チャラついた中途半端な不良って感じで、お姉ちゃんはすごく嫌ってたみたいだけどね。

だから、あいつが関わってると思ったの。

ある日、私が妹だと気付かずにナンパしてきたから、チャンスと思って近づいたの。

そしたらある日、お酒を飲んだ勢いで自慢げにその話をしたんだよ。

信じられる?罪の意識まったく無いんだから。

まるで、武勇伝のように語ってた。

信じられないよね、クズだよねあいつ」


殺害された少年から、直接聞き出した情報のようだ。

特別、物的証拠があるわけではない。


「だ、だが殺す事は無いだろ。それなら、その時点で警察に相談してくれれば良かったのに」


刑事の言う通りだ。

確かに、復讐したい気持ちは分かるが、思いとどまるべきだった。


「でも、ちゃんとした証拠掴むの時間かかるし、逮捕されたとこで

何人かは少年法で守られるんでしょ。

だったら、一生出ることの出来ない地獄という牢獄へ

私の手で送ってやろうと思ったの!」


少女は、曇った目で笑いながら言う。


「そいつらのした事は、決して許されるべきでは無かった。

しかし、このような事をしてしまっては、もう取り返しはつかないぞ」


たとえどんなに恨みがあろうとも、人を殺せば罪になる。


「そうだよ。それぐらいの事は分かってるよ。

でも、お姉ちゃんもきっと喜んでくれるよ。

だって、お姉ちゃんを苦しめたクズ共を始末出来たんだから。

それに、お姉ちゃんなら天国に行くだろうし、

地獄へ行くあいつらとあの世で鉢合わせする事も無いし、安心だね!」


少女に、罪を犯したという意識は無い。

ただ、復讐をやり遂げたという達成感で満たされているように見える。


「・・・たとえ、どんな理由があろうとも、君はとんでもない罪を犯した。

裁判で、無罪になる事も無いだろう。

君はこれから、罪を償うべく生きていくんだ。

その自覚は、君にはあるのか!?」


刑事が、やや強い口調で言う。


「その言葉、そっくりそのまま返すよ、おじさん!」


少女は隠し持っていた小さなナイフで、刑事の喉を突き刺す。


「ぐ・・・ぐぼっ・・」


刑事の喉と口から、血が溢れだす。


「アハハハハハハハ、ねぇ、知らないとでも思ってた?

主犯のアイツ、おじさんの実の息子だよね。

離婚した奥さんが連れて行ったから名字も違ったけど、

調べていったら繋がったよ。

しかも、アイツが捕まらないようにおじさんが証拠隠滅したり、

捜査を撹乱するような行動、ワザと取ってたみたいだね。

おかしいと思ったんだよ、なぜアイツらが捕まらないのか。

おじさんのせいだったんだね、やったよ。

これで1つ、復讐は完成したよ。


アハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!」


少女は、半狂乱で笑う。

そして、書記を担当していた刑事が取り押さえようとする。


その時、少女はベテラン刑事の喉を刺した小さなナイフを

自分の胸に刺した。

少女の胸と口から、大量の血が出て来る。


「や・・やった。これ・・で、お姉ちゃん・・に・会いに・・行ける。

お姉ちゃん・・に・会った・ら、ナデナデして・・もらう・んだ。

そして・・・お姉ちゃん・・に会っ・た後、地獄ま・・でアイツ・・ら

追いかけて・・苦しませて・・やる・んだ。

今・・度は、永遠・・の苦しみを・・・味あわせ・・て・・やる・・ん・・」


すぐに救急車が手配され、二人とも病院へ担ぎ込まれたが、

間に合わなかった。

この事件は、非常に後味の悪い終わり方を迎えた。


だが、少女の最後の言葉。

彼女の復讐劇は、まだ終わってはいないのだろう。

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