なんでだよ
童貞やった相手にプロポーズしたら断られました。
なんだよそれ!!
どういうことだよ!
アレックスが出て行ったあとのベッドの上で、俺はひとり頭を抱えた。
意味がわからない。
「昨日のアレは、絶対そういう意味だったろ」
恋愛経験の乏しい俺でも、あんな風に好意を向けられたらわかる。あいつは俺に惚れている。
だからこそわからない。
なぜ王妃にならないのか。
ぐるぐると考え込む俺の思考を遮ったのは、ノックの音だった。返事をすると、側近ガストンが食事のワゴンを押しながら入ってくる。彼はまるで幽霊でも見たかのような、不思議そうな顔をしていた。
「どうした?」
「いえ……すぐそこで、アレックス殿とすれ違いました。陛下のお部屋から出てきたようですが、こんな朝早くにどうして……」
「さっきまで一緒に寝てたからな」
「寝……っ? は? え?」
ガストンはぎょっとして部屋を見回した。
床には脱ぎ散らかされた俺の服、ベッドはぐしゃぐしゃで、主の俺は全裸である。何があったか理解した側近の顔から血の気が引いていく。
「まさか、おふたりにそんな嗜好が……!」
こいつも勘違いしてたクチか。
俺も偉そうなことは言えないが。
「落ち着け、あいつの性別は女だ」
「勇者が女っ?! ……いえ、それはそれで、もっと悪いではありませんか! もし御子ができていたら、どうされるのです!」
「問題ない。あいつは俺の妃にする」
「……は」
ガストンの顔から表情が抜け落ちた。
あまりのことに、キャパオーバーを起こしたらしい。
「お前人気絶頂の勇者の扱いに困ってたよな? 喜べ、あいつと俺が結婚すれば、晴れてあいつも王族の一員だ。民衆の人気が全部王家に集まって丸くおさまるぞ」
勇者め、絶対嫁にしてやる。
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