第9話 ただし〇〇に限るってやつか

 カカオコ村につくまでの道中、ナナポとレイナから少し話を聞いていたが。


 村長であるロドムさんは村で唯一の狩人でもあるらしく、これまでは彼が一人でこの村をモンスターの脅威から守っていたが大怪我を負い、年齢も年齢でこの先狩人をやり続けるのは困難だと思い、後任の狩人として俺が呼ばれたらしい。


 幸い俺は、ゴドーとして生きてきた記憶はないが狩人としての業や身体能力は引き継いだ状態のようなので、ロドムさんの後を継ぐ狩人しての役目は果たすことが出来そうだ。


「まだまだ話足りないが、あんな事があった直後だ。 ゴドー殿もお疲れだろう。 村の案内や詳しい仕事の話は明日以降にして、今日はゆっくり体を休めて欲しい」


 そういってロドムさんは村に派遣されて来る狩人のために用意しておいてくれた家まで案内してくれた。


「ここがゴドー殿のために用意した家だ、一通り家具などは持ち運んでおいたからあとは好きに使ってくれ」


「おお、随分立派な一軒家だが……本当に俺一人で使っていいのか? 」


「ああいや実はな、ここはもともとのオレの両親が住んでいた家なんだ。 親父たちが死んだ後、取り壊す気にはなれず。 村の人たちを集めて話し合いをする時などに使っていたんだが。 新たな狩人を村に呼ぶにあたって、この家を再利用しようという話になってな。 少々手を加えてゴドー殿が住むための家に改築したというわけさ」


「そういう事だったのか」


(通りで、ロドムさんの自宅から近いわけだ)


「それと明日にでも、鍛冶屋のダダボ爺さんのところに顔を出してやってくれ。 墜落事故で装備を紛失したことを伝えれば、無償で一通りの武具を作ってくれるはずだ」


「そいつはありがたい。 流石に木の棒でモンスターを相手取るのは骨が折れるからな」


「ハハハッ! それはそうだろうさっ。 しかし、棒きれで戦うのは不可能だ…ではなく難しいときたか。 ナナポとレイナから話は聞いた時から思っていたが、ゴドー殿は将来狩人として大成しそうだな」


(将来……そうか、)


 すっかり失念していたが、今の俺は理想の自分としてキャラクリしたゴドーになっているんだ。


 FHOのキャラクリは皺を入れたり顔パターンの造形を極端に弄れるような自由度はあまりなく、逆にいえば誰でも美男美女が作りやすい仕様になっているので、どう頑張っても一定の年齢以上の見た目にはならない。


 つまり、ロドムさんから見れば俺はまだまだ将来ある若者に見えるというわけだ。


(まあでも、リアルな俺の姿のままパンイチだったら。 弁解の余地なく変質者だと思われて詰んでたかも知れないし……この見た目に感謝だな)


 なんだかんだいって、人が見た目から受け取る印象は大きい。


 つまり、イケメンだから助かることもあるのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

狩りゲーの世界に降り立った最強課金おじさんが終焉に抗う話 猫鍋まるい @AcronTear

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ