第8話 カカオコ村
カカオコ村。
三大陸の一つであるアインホルンの南西に位置するこの村はFHOを開始したプレイヤーが最初の活動拠点として選択できる場所の一つであり、チョコラン(ほぼチョコレートと同じ)お菓子の原材料となるココアッツの実、その名産地として知られている。
村長の娘だという姉妹、ナナポとレイナに連れられ。
そんなカカオコ村に到着した俺は、パンイチだったこともあり村の人たちに警戒されたが、すぐに姉妹が間に入り事情を説明してくれたのであらぬ誤解をされずに済んだ。
「本当に、なんと…なんとお礼を申し上げればよいか……! 」
「ゴドー殿! 娘たちを助けてくれて本当にありがとう……! 」
「いや、そんな。 俺はただ狩人として出来ることをしただけだ。 っと、それより。 悪いがなにか着る物を貸してもらえないか? 年頃の娘さんたちの前で何時までもこの格好というわけにはいかないからな」
「おお! すまない、気が回らなくて。 娘たちの無事が確認出来てすっかり気が抜けてしまってな、ハハハ」
取り合えず着るものとして用意して貰ったカカオコ村の伝統的な民族衣装に袖を通した俺は、密林で目覚めてから姉妹と出会い今に至るまでの経緯を出来る範囲で説明していった。
「……というわけだ」
「ふむ、つまりゴドー殿は一部の記憶がない……記憶喪失というわけか」
「ああ、恐らく」
俺が乗っていた(らしい)飛空艇が墜落した件も重なり、記憶を失っているという話は割とあっさり信じてもらえた。
実際は記憶喪失でもなんでもないので、騙してるようで気が引けるが。
自分が遊んでいたゲームそっくりな世界に来てしまい混乱してますなんて話は出来ないのでこうするほかない。
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