第2話 パンイチおじさん
(あばばばばば……! どどどどうする俺! )
食われる! 絶体絶命!!
寝起きから唐突に訪れた命の危機。
パニックになった俺は逃げるでも戦うでもなく、思わず目をつむってしまった。
「…………っ!! 」
ガキンッ!!
(な、なんだ……? 痛く、ない。 助かったのか…? )
恐る恐る目を開けると、身体を庇うようにして咄嗟に突き出した俺の腕に食らいついたピヨコトリスが何故かそのまま動きを止めていた。
(どういうことだ? 噛みつかれているのに痛くない……? というか―― )
「俺、ほぼ裸じゃねぇか!? 」
痛みを全く感じないことで緊張が解け、やっと冷静に状況を判断する事が出来るようになった俺は。
自身がパンツ一丁というほぼ裸の状態で、ジャングルのような場所に投げ出されていることに気付いた。
(おいおいおい、いったいどうなってんだよこれ)
熱にうなされ悪い夢でも見ているような状況だが、足裏から伝わる土の感触や鼻から抜ける草木の香りといった五感に訴えてくるあらゆる要素がここが現実であると告げていた。
(って、ちんたら周囲を観察してる場合じゃない! まずはこの怪物を引きはがさないと! )
「おら! 離れろッ! 」
腕に食らいついたまま動かないピヨコトリスの顔面を、無事な左手で殴りつける。
「グェッッッッッ!? 」
すると、思いのほか素手でもダメージが与えられたのか。
大きく体を傾け怯んだピヨコトリスは、ギャイギャイと鳴きながら森の奥へと消えていくのだった。
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