第290話 朗報
三人で食事を始めると、レザミリアーナフェリシアーナに向けて言った。
「フェリシアーナ、エリザリーナに確認を取りたいことがあると言っていたが、先に済ませるか?」
「え〜?そうなの〜?私に確認したいことって何〜?」
レザミリアーナの言葉に便乗する形で聞いてくるエリザリーナ。
────どうせ、私の確認を取りたいことなんて見当がついているくせに……本当に苛立たしいわね。
と思いながらも、レザミリアーナの手前。
その感情はどうにか抑えて、口を開いて言った。
「職務に関する細かい話で、食卓の場でするような話では無いので今は控えさせていただきます」
「私は別に気にしないのに〜」
「私も気にはしないが、フェリシアーナが我ら姉妹での食卓の場でそういった話はしたくないと慮ってくれているのならば、その配慮は受け取っておこう」
「は〜い」
エリザリーナが軽い声色でそう返事をすると、レザミリアーナは少し間を空けてから言った。
「では、予定通り今日エリザリーナが主催したという催し事についての話となるが、何か問題ごとは起きなかったか?」
「うん!特に何も問題が起きたりすることなく、みんな楽しそうにしてたよ!」
「そうか、第一にその言葉を聞けて、ひとまず何よりだ」
フェリシアーナから見ても、確かに今日エリザリーナが主催した催し事の会場の雰囲気には特に問題はなく。
むしろ、皆が一体となって場を楽しく盛り上げているように見えた……が。
一番の問題は────
「では、ここからが本題だが────今日の催し事は、何のために開いたものだ?」
ちょうど、今フェリシアーナが考えていたことをエリザリーナに問うレザミリアーナ。
に対して、エリザリーナは普段通りの様子で言った。
「ここで言わなくてもすぐ耳に入ってくると思うけど、今日の催し事では私が婚約を希望する男性が現れたってことを大々的に発表したの!」
「大々的に、発表……?」
「うん!もちろん、まだ婚約が決定したわけじゃないからその男性の名前は出してないけど、三人の王女の中からようやく婚約を希望する王女が現れたっていうのと、もし私がその人と婚約することになったら次代の王の誕生っていう触れ込みも付け加えた上に、今日集めた貴族は伝聞性の強い貴族もたくさん居たから、このことは国内外問わずすぐに広がると思うよ!」
そのエリザリーナの言葉を聞いたレザミリアーナは、少し間を空けてから言った。
「まさか、そんなことをしていたとはな……しかし、次代の王の誕生とは、随分大きく出たものだ」
「確かに、あれは盛り上げるために大きく言ったっていうのもあるけど、私は本当にあの子が王様になったらこの国は良くなると思ってるよ」
「……」
落ち着いた声色で言うエリザリーナに、フェリシアーナはこの部分だけは共感する。
ルクスが王になれば、この国はさらに良くなる。
それは、フェリシアーナがずっと抱き続けている考えでもあるからだ。
「エリザリーナにそこまで言わせる者が居るとは……私も、少し興味があるな」
レザミリアーナのそんな言葉に対し。
エリザリーナは、パンッと手を鳴らして大きな声で言った。
「そんなレザミリアーナお姉様に、朗報があるよ〜!」
「なんだ?」
いつも通り落ち着いた声色で聞いたレザミリアーナに、エリザリーナは明るい声で言った。
「今日、私はその私が婚約したいと思ってる男の子にプロポーズしたから、もしその男の子が明日に私からのプロポーズを受けてくれたら、明日にでもレザミリアーナお姉様にその男の子のことを紹介してあげる!」
「っ!?」
今までの話は、ある程度フェリシアーナも知っていたことだったため驚くことはなかった……が。
────エリザリーナ姉様が、ルクスくんに……プロポーズをした?
「……」
エリザリーナがルクスにプロポーズをしたというのはこの場で聞くのが初めてであり、そんな予想もしていなかったため。
フェリシアーナは、そのエリザリーナの言葉に愕然とする他無かった────
◇
いつもこの物語を読み、いいねや応援コメントなどをくださり本当にありがとうございます!
是非、今後もこの物語をお楽しみいただけると幸いです!
◇
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