第186話 第三回王族交流会
◇ルクスside◇
────第三回王族交流会当日。
第一回、第二回の時と同じように、僕たち生徒は王族交流会の行われるダンス会場へ移動した。
すると、そこには今まで通りたくさんの料理が並べられたテーブルに、楽器を持った人たち、そしてこの場を彩るダンスを踊る人たちが居て、僕が相変わらずすごい光景だと思っていると今までと同じように貴族学校の理事長さんが司会をし始める。
「第三回ともなれば皆さんご承知だと思われますが、この王族交流会は、将来的にこの国を担って行くことになる貴族の皆様が、王族の方やその関係者の方と直接関わることのできる貴重な機会であり、貴族学校の生徒である皆様にしか体験できない催し事となっています……ですので、この第三回王族交流会でも、皆様にはたくさんのことを学んでいただきたいと思います」
理事長さんが僕たちに向けた言葉を聞き届けると、僕を含む生徒たちは盛大な拍手を送った。
それから、やがて拍手が止むと、理事長さんが言う。
「────では、第一王女レザミリアーナ様と王族関係者の皆様、よろしくお願い致します」
────え!?だ、第一王女レザミリアーナ様!?
第一回の時はフェリシアーナ様、第二回の時はエリザリーナ様だったから、順当に考えればそこまで驚くことじゃ無いと思うかもしれないけど、それでも僕は驚いた。
この間、レザミリアーナ様のことを剣術大会で遠くからとはいえお見かけすることができたのは本当に奇跡のようなもので、基本的に忙しいレザミリアーナ様はこういった催し事には参加しないことで有名だからだ。
「……」
隣に居るフローレンスさん……は、相変わらずいつも通りの表情をしていたけど、それ以外の生徒たちは、マナー上声は出していないものの、明らかにその表情に困惑の色を見せていた。
それでも、当然その理事長さんの言葉は嘘なんかじゃなく────ダンス会場の二階から王族関係者と思われる人たちがたくさん姿を見せる。
そして────その中央には、艶のある長いワインレッドの髪に、切れ長のある赤い瞳で、とても綺麗な顔立ちをした、王族服を着た女性の姿があった。
あの綺麗で凛々しさを感じる雰囲気……王族服を着ていなくてもその圧倒的な風格からわかったと思うけど、王族服を着ていることからももはや間違いない────あの人が、レザミリアーナ様だ。
レザミリアーナ様が姿を見せたことで、会場は再度盛大な拍手で覆われる。
そして、レザミリアーナ様が拍手を止めるよう合図を出すと、拍手は鳴り止んでレザミリアーナ様が話し始めた。
「入学式から約三ヶ月……この素晴らしき学び舎で、君たちは多くを学んだだろう……学問や剣術はもちろんのこと、一日の中で連続的に行われる貴族同士のコミュニケーションの取り方や、自分自身の得意とすること、苦手とすること……そして、学びだけでなく、信頼できる友人や、自らの人生をより良くする趣味を見つけることもできたかもしれない────だが、君たちが思っている以上に世界は広大だ……だからこそ、今君たちに見えている景色だけが世界の全てだと思わず、貴族として世界を広げ、広げた先から見える景色の中で、君たちの愛すべき民が幸福になれる場所を見つけ、そこへ民を導けるよう日々努力を重ねて欲しい……私は、この第三回王族交流会が、その一つのきっかけとなることを祈っている……私からは以上だ、各自交流を始めてくれ」
レザミリアーナ様が、力強く凛々しい声で言葉を紡ぎ終えると────会場は盛大な拍手で埋まった。
────この人が、第一王女レザミリアーナ様……!
フェリシアーナ様やエリザリーナ様も凄かったけど、レザミリアーナ様はそのお二人のお姉さんということもあって、まさしく王族といった圧倒的な風格、存在感を放っていた。
僕がそんなレザミリアーナ様に思わず目を奪われていると────レザミリアーナ様は、僕と目を合わせて少しだけ口角を上げた。
そして、会場の拍手が鳴り止むと、レザミリアーナ様や王族関係者の人たちが二階から降りて来たことによって、第三回王族交流会はその幕を開けた。
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