第181話 祝勝会
◇ルクスside◇
「おはようございます、ルクス様」
「おはようございます、フローレンスさん」
今日も貴族学校に登校すると、フローレンスさんがいつも通り挨拶をしてくれたため、僕もいつも通りに挨拶を返して席に座る。
すると、フローレンスさんが聞いてきた。
「本日の放課後、お時間空いていますか?」
「はい、空いてます」
「それは良かったです……でしたら、少し期間が空いてしまいましたが、本日の放課後は私とルクス様のお二人で剣術大会で優勝と準優勝を飾ることができたことをお祝いする祝勝会を開きませんか?」
「っ!祝勝会!良いですね!是非開きたいです!」
「ありがとうございます……それでは、本日の放課後は、二人でフローレンス公爵家の屋敷へと参りましょうか」
「はい!」
ということで、フローレンスさんも言っていた通り少し剣術大会からは日が空いてしまったけど、祝うことに日にちなんて関係無いと思うため、僕たちは今日の放課後二人で剣術大会の優勝と準優勝を祝うことになった。
そして────いよいよ、待ち遠しかった放課後。
僕とフローレンスさんは、二人で馬車に乗ってフローレンス公爵家の屋敷へと向かい、その馬車が到着すると、僕は屋敷の中に招いてもらって、フローレンスさんと一緒に客室の中へ入った。
「どうぞ、ルクス様……」
「ありがとうございます!」
フローレンスさんと対面になるようにソファに座ると、フローレンスさんが紅茶を淹れてくれたため、僕はその紅茶を一口飲む。
「っ!この紅茶は、いつもフローレンスさんが淹れてくださる紅茶よりも、何だか甘い感じですね!」
「はい、せっかくのお祝いなので、普段とは味を変えて甘い物にしてみました……お口に合いそうですか?」
「はい!とっても美味しいです!」
「それは何よりです」
その後、僕とフローレンスさんは、普段はあまり飲まない新鮮な感覚を覚える紅茶を飲みながら、剣術大会の練習期間や剣術大会本番のことについて話し合った。
「────剣術大会の時に初めて細剣を使っているフローレンスさんと戦いましたけど、本当にすごかったので今度また模擬戦でも細剣で戦って欲しいです!」
「もちろん良いですが、細剣はその重量や形が独特なものが多く、木刀などで代用するのが難しいので、基本的に真剣の禁じられている学校では難しいと思われますので、校外で剣技の鍛錬を積むときにそう致しましょうか」
「ありがとうございます!」
僕がそうお礼を言うと、フローレンスさんは紅茶を飲んでから少し間を空けてから僕の方を見て言った。
「時に、ルクス様……一つお聞きしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」
「はい、何ですか?」
そう聞き返すと────フローレンスさんは、その口から衝撃的な言葉を放った。
「ルクス様がシアナさんとお風呂に入った、というお話を聞いたのですが、それは本当なのでしょうか?」
「え、えっ!?ど、どうしてフローレンスさんがそのことを!?」
「ということは、本当だということですね……お話を聞いたのは、そのシアナさんからです」
シアナ……!
そんな恥ずかしいことをフローレンスさんに言ったらダメだよ……!
僕が心の中でシアナにそう伝えるも、フローレンスさんは続けて言った。
「私は、そのことについて何かを言うつもりはありません……が、長い時間を共に過ごし、剣術大会の期間では共に剣を高め合い────何よりも愛しているルクス様と、私も共にお風呂に入りたいのです」
「えっ!?え、えっと……」
フローレンスさんには婚約の話を受けていて、それに対してまだ返事もできていないのに、僕のことを愛していると言ってくれているフローレンスさんからの誘いを断ることなんて……できない!
「……わかりました!一緒に……入りましょう!」
「っ、お引き受けくださり、ありがとうございます」
僕の返事を聞いたフローレンスさんは、とても嬉しそうに頬を赤く染めて微笑むと、僕はフローレンスさんについていく形で廊下を歩いて、フローレンス公爵家のお風呂場へと向かった。
僕のことを、婚約の話をしてくれるほどに愛していると言ってくれているフローレンスさんとのお風呂……そのことに対して、僕はシアナやバイオレットさん、エリナさんとお風呂に入った時とは違う緊張感を抱いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます