第124話 豪華客船パーティー
◇ルクスside◇
エリナさんと手を繋いで豪華客船内の廊下を歩いていると、廊下の奥にある空間の入り口が近づいてきて、そこからたくさんの人の声が聞こえてきた。
「そろそろ人の集まるパーティー会場に着きそうなので、手を離した方が良いかもしれませんね」
「そ……そうだね、ちょっともったいない気もするけど……」
「え?何か言いましたか?」
「なんでもないよ!確かに人に見られて変な誤解させちゃっても困るもんね!」
そんな会話をしてから、僕とエリナさんはゆっくりと手を繋ぐのをやめた。
そして、そのまま二人で歩いていくと────たくさんの貴族の人が居るパーティー会場にやって来た。
「……」
王族交流会の行われるダンス会場もとても広いと感じていたけど、ここはあのダンス会場の比じゃないほど広い……人数は王族交流会の時と比べてそこまで変わらないけど、一人一人の人が放っている雰囲気からそこに居る人たちがすごい人たちだということが明らかだった。
「うわぁ、やっぱり豪華客船パーティーっていうだけあってメンバーも豪華だね〜」
「エリナさん、やっぱり僕────」
「ルクス!そろそろこの豪華客船が出航するんだけど、私その出航と同時に豪華客船パーティー開始の合図っていう意味も込めてピアノ弾くように言われてるから、一緒に来て!」
「え!?は、はい!」
僕は思わず弱気なことを言おうとしてしまったけど、今すぐに行かないといけないんだったらそんなことを話している暇は無いため、僕はエリナさんに連れられる形で一緒にこの会場の大きなピアノが置いてある場所までやって来た。
そして、ピアノの置いてある場所に到着すると、そのピアノから少し距離を取った場所にはもうすでにたくさんの人が居た。
ピアノの方に向かうエリナさんの背中を見ながら、僕も他の人たちと同じ場所でエリナさんのピアノを弾いているところを見ようと思ったけど────
「ルクスはこっち!」
エリナさんはそう言って僕の手首を掴むと、ピアノの目の前まで連れてきて椅子に座った。
「え……?他の人は少し距離を取っているのに、僕だけこんなに真隣からでも良いんですか……?」
「うん、むしろ……ルクスにはもっと近くで私のこと見て欲しいぐらいだけどね」
「……エリナさん?」
小さな声で何かを言ったエリナさんの様子を窺うように僕が名前を呼ぶも、エリナさんは「なんでもな〜い!」と言ってピアノを弾く準備を始めた。
そして、周りの人たちが話している声が聞こえてくる。
「まさか────のピアノを────とはな」
「えぇ、豪華客船────エリザリーナ様────ね」
今、会話の中から第二王女エリザリーナ様の名前が聞こえたような気がするけど……もしかして、この豪華客船内のどこかに居るのかな?
というか、そうだ!フェリシアーナ様もどこかに居るはず!
……お二人のことを探したい気持ちでたくさんだけど、今はとりあえず僕のことを豪華客船パーティーに誘ってくれたエリナさんのピアノを弾く姿を見ることにしよう。
僕がそう決めると────どうやら船が出航したらしく、それと同時にエリナさんのピアノを弾く準備も終わったらしいため、僕はエリナさんがピアノを弾くのを真隣で見ることにした。
「……」
そして────エリナさんがピアノを弾き始めた瞬間、先ほどまで喋り声、歩く音、食器の音などの様々な音が消えて、この空間には今エリナさんの弾く綺麗なピアノの音だけが響いていた。
とても綺麗な音色だ……ずっと聴いていたい、そう思えるほどに。
それに、エリナさんの姿勢や指の動きなども本当に綺麗で────僕は、思わず目を奪われていた。
その後、エリナさんが曲を弾き終えると────この会場は盛大な拍手で包まれ、当然僕も隣からエリナさんに拍手を送っていた。
「ルクス!私のピアノ、どうだった?」
「とっても綺麗な音色でした……本当に、今まで聴いたピアノの中で一番綺麗な音色で、ずっと聴いていたいです」
「っ……!ルクスがそう言ってくれるなら、何曲でも弾いてあげる!」
とても嬉しそうな、そして同時に楽しそうな声音でそう言ったエリナさんが再度ピアノと向かい合って曲を奏で始めようとした……その時。
「こんばんは、ルクスくん」
後ろを振り返ると、そこには────透明感のある綺麗な白のドレスを着た、第三王女フェリシアーナ様の姿があった。
◇
この作品の連載を始めてから四ヶ月が経過しました!
この四か月の間にこの物語をここまで読んでくださり、さらにいいねや☆、応援コメントなどで応援してくださり本当にありがとうございます!
作者は今後も楽しくこの物語を描かせていただこうと思いますので、是非あなたも最後までこの物語をお楽しみいただけると幸いです!
今後も応援よろしくお願いします!
◇
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