第33話 王族交流会
貴族学校に登校していつもの講義室に荷物を置くと、僕たち生徒は王族交流会が行われる貴族学校のダンス会場へ向かった。
ダンス会場へ向かう最中、僕は朝シアナと話したことを、入学式の時と同じ綺麗なドレスを着たフローレンスさんに聞いてみることにした。
「今日の王族交流会は、どの王族の方が来てくださるんでしょうか……フローレンスさんは何か聞いてますか?」
「何も聞いていません……が、私の予想が正しければ、第三王女フェリシアーナ様が居らっしゃるのでは無いかと思います」
「どうしてそう思うんですか?」
「なんとなく、です」
フローレンスさんは、いつも通り穏やかな表情でそう言った。
どうしてフローレンスさんがこの王族交流会にフェリシアーナ様が来ると予想しているのかはわからないけど、やっぱり結局のところはその人が来るまではわからない。
僕は誰が来てくださるのかに胸を躍らせながら、そのままダンス会場へと歩いて行った。
そして、ダンス会場に到着すると、そのダンス会場にはたくさんの料理や楽器を持った人たちが居て、入学式の時同様にこの貴族学校の理事長さんが司会をし始めた。
「この王族交流会は、この先この国を担っていくことになる皆様が王族の方やその関係者の方と直接関わることのできる貴重な機会です、この貴族学校でしか体験できない催し事でもあるので、この王族交流会で皆様にはたくさんのことを学んでいただきたいと思います」
理事長さんがそう言い終えると、生徒たちは僕も含めて盛大な拍手をした。
そして、その拍手が止むと理事長さんは言った。
「────では、第三王女フェリシアーナ様と王族関係者の皆様、よろしくお願い致します」
理事長さんがそう言うと、ダンス会場の二階から、王族関係者と思われる人たちがたくさん姿を見せて────その中央に、フェリシアーナ様が居た。
会場はまたも盛大な拍手で覆われ、僕も拍手をしながら心の中でとても喜んでいた。
フェリシアーナ様と話せる……!
「……」
そんなことを思って喜んでいると、一瞬隣に居るフローレンスさんに視線を送られていたような気がした……けど、本当に一瞬だったから僕は特に気にせずにフェリシアーナ様の方を見た。
すると、フェリシアーナ様が話し始める。
「入学式から約一ヶ月、また皆様とこうしてお会いできてとても嬉しく思います……本日は以前のように皆様に言葉を贈るだけでなく、私と王族の関係者も含めて皆様と文字通り交流させていただきたいと思っていますので、よろしくお願いします」
フェリシアーナ様が透き通った声音でそう言うと、会場は拍手で埋まった……本当に、とてもじゃ無いけど同い年の人とは思えないほどの風格だ。
フェリシアーナ様がそう言った後、二階に居た人たちが階段を降りて来たため、自然と王族交流会は始まり、生徒たちが次々と王族関係者と話し始めていた。
僕はフェリシアーナ様と話したい……けど、最初からいきなり僕が行ったら迷惑かもしれないから、少し間を空けた方が良いかな。
そう悩んでいた僕だったけど、フェリシアーナ様が僕と目を合わせて微笑んでくれたので、フェリシアーナ様のところへ行っても良さそうだ。
「ルクス様、フェリシアーナ様のところへ行くおつもりですか?」
「はい、そうです」
「……私も同行させていただいてもよろしいでしょうか?」
「はい!」
当然、フローレンスさんが一緒に来てくれるなら僕も嬉しいため、僕はハッキリとそう返事をした。
すると、フローレンスさんは僕に優しく微笑みかけてくれて、そのまま僕たち二人は一緒にフェリシアーナ様のところへ向かうと、僕はフェリシアーナ様に挨拶をする。
「フェリシアーナ様!またお会いできて嬉しいです!」
「私もよ、ルクスくん……それから────」
次に、フェリシアーナ様は僕の少し後ろに居るフローレンスさんの方を向いて言った。
「あなたとは、入学祝いパーティー以来ね、ルクスくんのお友達だったかしら?」
フェリシアーナ様にそう話しかけられたフローレンスさんは、笑顔で答える。
「はい、あの入学式の日から約一ヶ月の間で、ルクス様との仲がとても深まりました」
そう一つ会話をした後、二人は互いのことを見ながら少しの間沈黙した────
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