第4話 大浴場の尋問(3)
しばらくして二人の前に姿を見せたエストリンはフリルのついた紫の水着に着替え、長い髪もきちんと束ねていた。三人は彼女を先頭にして大浴場へと足を踏み入れる。素肌で感じる心地良い熱気と足元の湿り気に、アスティマは改めて人の世界へ帰ってきた実感を噛み締めて歩く。脱衣所より明るいブラウンのタイルが敷き詰められた浴場にはいくつかの浴槽が存在し、そのうち中央にある最も大きな楕円形の浴槽にだけお湯が張られ、もくもくと湯気が立ち昇っていた。壁際にあるシャワーと水栓、置かれている桶と椅子の数は住人に対して相変わらず多い。蒸し風呂の部屋や屋外へ続く扉もあり、外に目をやれば露天風呂が覗いていた。
エストリンが設備や道具について一通りの説明を終えた後は皆でシャワーを使って軽く体を流し、中央の浴槽に浸かる。アスティマだけは二人から少し遠い位置にいたが、あまり離れると水瓶を担ぐ石像から注がれるお湯の音で声が聞き取り辛いので、離れ過ぎず代わりに二人の姿を正面に捉えない場所に落ち着いた。そのまま浴槽の縁に両腕を乗せて足を伸ばしリラックスした体勢で「ふぅー」と息をついた。今はアスティマもエストリン同様に長い髪を後ろで団子上にまとめている。先ほどレナから差し出された髪を束ねる輪っかは水に濡らして良いのかとエストリンに伺いを立て、大丈夫と言われたのでそれを使って自身でまとめた。水に濡れるのか分からない存在のエリカも、両サイドで結ばれていた髪を頭上でたまねぎのような特徴的な形に束ねていた。
「懐かしいなエリカ、その変な頭」
「大変愛らしいです、エリカ様」
「リンちゃんは見る目あるわね、あっちの筋肉バカと違って」
「‥‥‥何だその言草は、お前のためにわざわざ頭にこんな物を乗っけてやってるんだぞ」
言いながらアスティマは頭の上に乗せたメダリオンをポンポンと叩く。篭の中に入れて歩いていた時はエリカは何ともなかったが、長時間身体との接触を断つと消えるかもしれないと考えて頭に乗せていた。
「そうですね、メダリオンを使う方は常に身体に接触させて起動させているはずです、薄い衣服程度なら間に挟んでも平気らしいですが。ただエリカ様を常識に照らし合わせて良いのか‥‥‥」
エストリンが親切に答えてくれたが、彼女はもちろんアスティマにもメダリオンのことは分からない。恐らくはエリカにも良く分かっていない。
「浴槽の縁に置いて様子を見るか、どうせ錆びやしないだろう」
「ダメよ、出る時に一番魔力使うんだから消えたら面倒でしょ」
「消えたら消えたで出なきゃ良いだろ」
「アンタとリンちゃんを二人きりに出来ないわよ」
そう言ってエリカはアスティマを睨んだ。アスティマは言い負かされたようで若干悔しかったが、一理あるとは感じてしまった。
「‥‥‥確かにそれは可哀想だな」
「い、いえ、私は別に」
エストリンの消え入りそうな声を聞きながら、アスティマは頭の上のメダリオンを手に取り改めてまじまじと眺めた。
「しかしこれは今までのように封印しておいた方が良い気がするが。材質は恐らくオリハルコン、エルゴールド、マナタイト‥‥‥どれも極めて高純度に見える。それにエレノア直筆の魔法印が刻まれ中にはアンジェリカの魂の欠片、時価いくらになるか」
「とても値段はつけられないでしょうが‥‥‥強いて言うなればこの国の年間の国家予算と桁は違えど同じ単位の値がつくかと」
ある程度予測していたとはいえ、エストリンに改めて言葉にされるとその凄まじさが実感出来た。メダリオンを見つめながらアスティマはため息をつく。
「これを800年守り通した事実だけで如何にイーサンの子孫たちが優秀だったか分かる。この家に置いておくのが一番安全そうだ」
「ダメよ、今後アスは死ぬまでそれを持ち続けるの。アンタは誰かしらが監視しておかないと危険だから」
確かに言われるとそうしなければならない気がしてくるが、アスティマには正直かなり憂鬱だった。
「ぐうの音も出ないが絶対に失くせない物を肌身離さず持ち歩くのはストレスだ」
「アンタ四六時中あんな鎧着てるクセに荷物持ち嫌いだったもんねぇ。騎士団の書簡をイーサンに持たせてなかった?バレて総長にこっぴどく叱られてたっけ」
「イーサンが持つって言うから」
アスティマの記憶ではシルヴェリオに怒鳴られた時はアンが笑っていた気がするが、二人の人格が両方覚醒していることも多々あったらしいのでどちらにも見られていたのだろう。まさかアンがわざわざ告げ口したわけじゃないよなと尋ねようとしたが、エリカはエストリンの方を見ていた。
「‥‥‥どうしたのリンちゃん、不思議そうな顔して」
「いえ、魔王聖伐を成し遂げた御二方と勇者様とのお話しを聞かせていただく状況というのはあまりにも現実味がなく‥‥‥それもこのような場所で。不思議な気分です」
確かにエストリンには貴重な光景だろうが、そう言われるとこんな話よりもっと話すべきことがあるとアスティマは気付いた。
「止めるか。思い出話はキリがない」
「積もる話はあるわねぇ、アンタ勝手にいなくなって魔王との決戦の最中に戻ってきたから、なーんにも事情話してないし」
「それは‥‥‥気が向いたら追々話すが、そんなことより今エストリンに聞いておきたいことが多すぎる」
エリカは「気が向いたらぁ?」と苛立ちを滲ませた声を出したものの、それ以上は何も言わずお湯に口元まで沈み込んだのでエストリンがアスティマに声を掛ける。
「なんでもお聞き下さい。私に分かることであればお答えしますので」
「ではエストリン、まずお前はどういう経緯でこの家に?ヘンリー以外の人間は例の件を知っているのか?」
「あっ、それがその、私のことは私自身も詳しい事情を知らなくて‥‥‥」
「知らない?」
「申し訳ありません、憶測を交えてお話しいたします」
「謝るな、俺も子供の頃は周りの大人たちの事情なんて何も知らなかった。可能な範囲で頼む」
元々アスティマが知りたかったのはこの時代の情報ではあったが、今最も気になるのはエストリンやこの家が置かれている状況についてだった。人と魔族が共に暮らしている現状に問題はないのか。
エストリンの話を聞いている内にアスティマにも色々なことが分かった。昔からハワード家は多くの児童養護施設、いわゆる孤児院を運営していること、ヘンリー個人が運営する孤児院の中に人と魔族のハーフを保護する施設があること、それ自体は世間に認知されているが純粋な魔族を匿っている事実は秘匿されていること、エストリンや他のメイドたちはこの家に養子として引き取られたこと。その理由はハッキリと教えられていないが、エストリン自身の考えとしては人の世に溶け込むことが難しい種族の子についてその責任を持つためではないかと思っていて、この家の子供たちはメイド三人が魔族とは知らないらしい。
また人類と魔族は人魔大戦以来大きな衝突こそ起きていないものの未だ敵対関係にあり、人と魔族のハーフにさえ根強い差別のある中、純粋な魔族を匿うヘンリーの行為は危険であること。実は勇者一行の祖国ユースディアにもハワード家の屋敷は再建されており、ヘンリーの両親や親戚、多くの使用人がそちらで暮らしていること。魔族を引き取り育てていることをヘンリーは両親にさえ話していないかもしれないと言うこと。正直なところ、地下の門の再利用について考えているアスティマは今後この家の守護を担うつもりだったので、憂慮すべき話は多かった。
「‥‥‥なるほどな、状況は見えてきた。後はヘンリーから聞くとしよう」
「はい、私はあくまで一介のメイドなので、それがよろしいかと。旦那様はアスティマ様には何一つ包み隠さずお話になるでしょう」
「でも子供たちが知らないんじゃ、あの場で確かめなくて良かったわね。ヘンリーは知ってるだろうと思ってたけどそれも不確かだし」
アスティマは特に何も話していないのだが、エリカは当然のようにあの場でメイドたちについて追求しなかったアスティマの意図を察していた。
「ヘンリー様でさえご存じでない可能性を考えてこの場所で‥‥‥お心遣い感謝いたします」
エストリンはあんな目に遭ったというのに律儀に感謝を述べたが、酷いことをした意識のあるアスティマからすればむず痒いものだった。
「礼など言うな、こちらの都合で酷いことをしたというに。俺は人と魔族と龍が共存する隠れ里で世話になった時期がある、それなのにあんな真似をした」
「えっ!?人魔大戦の真っ只中で、ですか?」
「待って待って、アタシそんな話知らないんだけど。アンタもしかして行方眩ましてた三ヶ月の間そこにいたの?」
エリカの声はほんの少し怒気を孕んでいた。アスティマが目を向けると、湯けむりの向こうでエリカが睨んでいるのが見えた。
「そうだよ、複雑な事情があってな。過ぎた話は追々するとして、今大事なのは別の話だ。時にエストリン、歳はいくつだ?」
隠れ里の件について食い下がりたそうな気配のあったエリカは、アスティマの突然の質問に呆気に取られたようにエストリンを見た。
「わ‥‥‥悪いわね、コイツ女の子に歳とか普通に訊くタイプなのよね」
「いえ、分かりますよ。寿命のお話ですよね」
エストリンは沈んだ声でそう言った。エリカも理解したように小さく「ああ」と声を漏らす。
「知っていたか」
「今は知りたいことは大抵分かります、あの手のひらに収まる小さな機械で」
「あれでなぁ」
「私自身正確な歳は分からないのですが、二十歳は超えているはずです」
「そう見えるから気掛かりだった」
アスティマは眉間にシワを寄せながら額に指を押し当てる。外見から想像していた範囲内だったが、だからこそ状況は深刻だった。
「いきおくれ、ですよね」
「何だっけ?ソレ」
エストリンの言葉の意味が分からないらしく、エリカはアスティマの顔を見て尋ねる。人間の世界でも使われた言葉ではあるが、少しニュアンスが違うこと自体はエリカにも分かったのだろう。
「いきおくれは誘惑が下手なサキュバスの蔑称だ。成熟したサキュバスが二十数年を超えて生きるには大人の男一人を衰弱死させる量の精気がいる。それが不都合なら複数の男を誘惑するが‥‥‥生きるほどに必要な精気の量は増していく。産まれる子供もサキュバス、人として生きるのは困難な種族だ」
「アンタやけにサキュバスに詳しいわね。つまり男の精気を吸ってないリンちゃんって‥‥‥もうすぐ死ぬの?」
エリカはその疑問を躊躇なく口にしたものの、気遣わしげな表情でエストリンを見つめていた。
「そうなります。サキュバスとは人様の活力を横取りして生きる薄汚い生き物です。ほんの少しならと思っても、一度その味を覚えたらどうなってしまうのか‥‥‥ですから、そうなる前に私は人としての死を望みます」
エストリンは微笑みながら自身の覚悟を話した。いつその運命を知ったのかは知らないが、傍目には覚悟はできているようには見える。だが、それは同時に諦念でもあるはずだ。
「何も知らない子供たちを悲しませるぞ」
エストリンの覚悟を聞いたアスティマは改めて彼女の意思を確かめた。
「それは‥‥‥」
「サキュバス博士のアスさん、何とかならないの?」
エリカは言葉選びこそ少しふざけているが、珍しく心配そうな声音だった。
「悪戯に期待を持たせるようなことは言えないが‥‥‥無理とも言わない」
「やっぱり?例えば本来のアスならどれだけ精気を吸われようと不死身なんだから‥‥‥あっ、忘れて」
エリカは珍しく少し焦った様子で口を噤んだが、何となく何を言うつもりだったかはアスティマには想像がついた。
「あの、私のことはお二人がお心を砕かれるようなことではありませんから」
エストリンから見れば偉大な英雄である二人が自身のことで頭を悩ませている現状が申し訳ないのだろうと想像はついたが、それでもアスティマは首を横に振った。
「エストリン、俺は人と魔族の共存を望みながら殺し合うだけだった男だ。お前の役に立てればほんの些細な罪滅ぼしになるとは思わないか?」
その言葉にエリカが「ふむ」と小さく声を漏らす。今はエストリンに対して穏やかに接しているエリカとて、当時の人間としては柔軟な思考を持っているだけで魔族殲滅を掲げたアルテナ教に寄った考えではあるはずなので、その感情は窺い知れない。
「‥‥‥お気持ちは大変嬉しいのですが、それでも私のために手を煩わせてしまうのは‥‥‥。それにアスティマ様ご自身ではなく他者の寿命に干渉すると言うのは果たして‥‥‥許されることなのでしょうか?」
エストリンの言葉にアスティマが返答する前に、エリカが口を開いた。
「言いたいことは分かるけどねー、生き方次第で長く生きられる種族なんだし別に良いんじゃない?自分の理想をこの世の摂理に重ねて上書きしていく、魔法だってそういうものよ」
「そうだ、魔法の歴史は神の理への叛逆、お前の生き方も同じこと。幼い頃から生半可な苦労ではなかったはずだ。今日までそうして来たなら人として生きて死ぬべきだと俺は思う」
この場の二人の意見は一致していた。アスティマは、これがエレノアならこうはならなかっただろうと思った。
「アスティマ様、エリカ様‥‥‥」
エストリンの声は少し震えており感極まっているようにも感じたが、アスティマはあまり見ないようにしていたので実際のところは窺い知れない。
「でもまぁ、今のアスは他人をどうこうする前にまず自分からね」
「世界が変わった影響のお話ですね」
エリカの言葉を聞きエストリンがおずおずと尋ねる。
「そっ、実はさっきも昔と違って簡単に他人の精神を覗けなくなったからリンちゃんの心を弱らせて、イエスかノーで読み取れる単純な質問をしてたの。あの程度の魔術で詠唱なんてのも驚きよ」
「そうだったのですか‥‥‥どんな魔術か朧げに想像はしていましたが」
「まぁ、このおっきなマシュマロ触りたかっただけかもしれないけどねぇ」
そう言いながらエリカはエリストリンの胸を指でツンツンと突き、エストリンを困らせていた。
「違う。全くお前は人の弱みをベラベラと。まぁエストリンには知る権利があるか‥‥‥」
「アンタは自分の怖さをイマイチ自覚してないんだから。ホラ、串刺し公ヴラドなんて大変だったじゃない」
エリカが不意に出したその名前はアスティマにとって頭の片隅に追いやられていたものだったが、なぜかエストリンの方が思い当たるような反応を示した。
「串刺し公というと、偉大な領主として現代でも有名な方ですね」
エストリンの言葉にアスティマは耳を疑った。ヴラドが800年後に名前が残るほどの大した男だったかと。しかしエリカは特に驚いた様子もなかった。
「アイツは領地で結構な圧政を敷いてたのが玉に瑕でね、アスティマはそういう権力者を粛清するって有名だったから、ヴラドも身に覚えがあったんでしょ。それがある時、アイツの仕えてた主君の城でアスとバッタリ行き合ったのよ」
「えっ?あ、アスティマ様がお城でヴラド公に何か‥‥‥?」
「何もしてない」
エリカの前にアスティマ本人が正直に答える。実際、何もしていないのだから。
「え?」
当然エストリンは目に見えて困惑していた。話の流れからして予想外だったのだろうと分かる。
「そう、ヴラドはアスと対面しただけで恐怖のあまり漏らしたのよ、うんちを」
「ええっ!?!?」
「初対面の厳ついおっさんにいきなり失禁された俺もかなりの恐怖を覚えた」
アスティマの感想を聞いたエストリンはなぜか突然お湯に顔を突っ込んで、いくつもの泡が浮かび上がってきた。もしかすると笑ってはいけない真面目な話だと思っているのかもしれないが、全くそんなことはない。
「あれ以来、ヴラドは陰でお下し公と揶揄されるようになったわ」
「俺は串刺し公を失禁させた男と言われ余計に人から敬遠されるようになった。奴に手を出すつもりなどなかったのに」
エリカが余計な話をしたせいで、アスティマは未だに懐かしくも感じない不快な記憶の数々を思い出した。
「アスティマ様からしても災難なお話しですね」
平静を取り戻したエストリンがアスティマを気遣って言う。
「因果応報とはいえ、思えば疎まれ恐れられ恨まれてばかりの人生だったな。そのせいで800年経った今でもこの通り、疑心暗鬼だ」
自嘲気味に笑うアスティマをエリカは呆れ顔で見つめていた。
「アンタが不死身のままならリンちゃん怖がらせる必要もなかったのよね、誰が敵でもカンケーないから。仮に今アンタを狙ってる敵がいるなら弱ってるコトなんてバレバレだし、さっさと手を打たないと」
「まぁな。なぁエストリン、あの小さな機械で調べたら大戦を生き延びた魔族の情報もすぐ分かったりするか?俺を第一に狙いそうなのはそいつらだ」
そうであればエストリンから先に話しているのではないかとは思いつつ、アスティマはダメ元で聞いてみた。
「いえ、残念ながら魔族については国によってはおとぎ話だと思われているほど情報がなく‥‥‥魔族とのハーフが公に認知されていても、単に精神の病なのではと疑っている方も少なくありません」
「そんな認識になるほど長い間魔族が派手に暴れていないだけマシか‥‥‥エリカは?」
「アタシが生きてる間は魔法が使い辛くなったこともあって人との衝突はなかったわね。イーサンとエリーはアンタに気を遣ったのかも」
魔王の行った世界の変革は同族にも深い傷跡を残したものの、魔法の使用が困難になった場合に最も打撃を受けるのは一番強い魔法の使い手たち、つまりイーサン、エレノア、アンジェリカだ。魔王は本当に厄介なことをしてくれたと改めて感じる。ついでに魔族との共存などという危険な思想を勇者たちに刷り込んだ厄介者もいたらしい。
「誰だよ、戦時中に魔族との共存がどうとか言ったおめでたい奴は」
「アンタよ」
エリーの声音は冷ややかだった。自分が冗談で口にしたことについて本気で怒っているのかもしれないとアスティマは感じた。
「巡り巡って自分の首を絞めたか。エレノアの門、今はあれだけが希望だな。あれは手を加えれば今後も大いに活用できそうだ。エリカ、エリーから何か役に立ちそうな話を聞いてないか?」
「何も?まっ、エリーならきっとアンタを帰還させるだけじゃなくその後の助けになるように、とも考えたかもね」
自分から名前を出しておいて他人からそう聞くとほんの少しだけ感傷的になり、言葉に詰まりそうになった。アスティマはそれを悟られないように話を続けようとする。
「‥‥‥そうだ、その門が起動するきっかけを作ったインターネットや、あのウィルソンという男が使った手法について知らねば。その辺りは外で涼みながら聞かせてもらおうか」
「承知しました」
エストリンのことはある程度把握したので、アスティマが次に気になることがそれだった。エリカの言う通り、世界情勢がどうあれ自身がかつての力を取り戻せば何も憂うことはない。現代の技術の中にはその手掛かりがあるように思えた。しかしいつまでも浴室で話をしていてはのぼせてしまうので一度話を切り上げて体を洗い、アスティマとエリカが互いの背中を流し合った後にもう一度全員で湯に浸かり、三人でポツポツと他愛無い話をした後に浴室を後にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます