第14話 イチャイチャするそうですよ!?
︎︎妹たちがお風呂に入っている間に、僕は会長にシアを学校に通わせるかどうかについて話していた。
『学校、ですか。確かに年齢的に言えば中学生ぐらいですし、通わせようと思えばいけるかもしれませんが、馴染めるかどうか……』
「問題はそこですよね、シアの獣耳としっぽは一般人からしたら変な物以外の何物でもないですから。それにモンスターと関わりが少ない学生なら尚更不思議に思うでしょうね」
︎︎シアはデスキャットの人間のキメラで、人間の方の遺伝子の方が全然強いし、モンスターと比べたらマシだ。まぁそんな上手くいくはずもないからこうして悩んでるわけだけど。
︎︎言ってしまえばシアは普通の人間が仮装とかで後付けするようなしっぽと獣耳が元々ついてるだけの人間だからね。
「シアってほとんど人間ですし、ただしっぽと獣耳が付いてるだけで避けることないと僕は思いますけどね。シアの元になったデスキャットなんて結構えげつない見た目してるじゃないですか」
︎︎デスキャットの見た目を考えたらシアの遺伝子に刻まれてるデスキャット要素なんてほんの一割程度だと思う。
「会長は馴染めるかを危惧してるだけで、シアを礼華と同じ学校に通わそうと思えばできるんですね?」
『あそこの校長には大きな貸しがありますし、同じクラスにしてもらうこともできないことは無いですよ。転入に関しては校長と話をして、書類を書けばできます』
「シアも礼華も一緒に学校に行きたいって言ってますし、お願いしますね」
︎︎シアは良くも悪くも世間知らずで【冒険者】のことしか知らないからね、これから妹とか先輩と一緒に遊んでいく時に困るかもしれない。今のうちに学校でしっかりと勉強して、見た目のことは気にせずに接してくれる良い友達を作ってくれたらと思う、それが名付けた僕の願いだ。
︎︎こうしてシアちゃんの体を見ていると、本当に体からしっぽとかが生えてるんだなぁって思う。それにしても、シアちゃんって私と同じくらいの年齢のはずなのに体つきが全然違う気がする……。
「体が気になるのは分かりますがにゃ、さすがにそこまで見つめられると恥ずかしいですにゃ……」
「ごめんごめん、それじゃあ背中洗ってあげるから後ろ向いてて」
︎︎胸を見てることがバレなくてよかったぁ、いくら同性とはいえセクハラだからね。でもこの歳にしては少し大きいと思うんだよね。
︎︎礼華がタオルでゴシゴシとシアの背中を洗っていると、シアが急に体を跳ねさせながら「んにゃ!?」と声をあげた。
「びっくりした……。どうしたの、鏡越しに後ろの幽霊でも見た?」
「申し訳ないですにゃ、ただしっぽの付け根のところはあんまり触れないで欲しいにゃ……。その、少しくすぐったいですにゃ」
︎︎あ、幽霊に関しては無視なんだ、ちゃんと影は見えたんだけど多分お兄ちゃんだよね。……いや、私もシアちゃんも着替えをお風呂場に持ってきてるし、私たちがお風呂に入ってるのにお兄ちゃんがこっちに来る理由無くない?
「ねぇシアちゃん、さっき幽霊の影がって言ったじゃん?」
「言いましたにゃんね、天乃江様が来ただけなんじゃないですかにゃ?」
「いや、お兄ちゃんが今お風呂場に来る理由なんてないし……そもそもさっきからお兄ちゃんは誰かと話してるはずだよ」
︎︎私は何も言わずにシアちゃんの手を握る、なんでシアちゃんは幽霊が出た可能性が高いのに平然としてるのかなぁ……。ほんとに、自分で言ったことだけど幽霊は無理、本当に無理!
「……シアちゃんは怖くないの?」
「幽霊みたいなモンスターが居るから大丈夫ですにゃ。本当に怖いのは幽霊じゃなくて人間ですにゃ」
「重い! 発言が重いよ!」
︎︎幽霊のことなんて気にしても私にできることはないし、とりあえずシアちゃんの背中を洗うのを再開した。
「次は私が礼華ちゃんの背中を洗ってあげますにゃ。幽霊が怖いのなら寝る時に手とかしっぽを握ってもいいですにゃよ?」
「うん、そうする……」
︎︎その後、少し体を触りあったりと、イチャイチャして風呂から上がった。まだお兄ちゃんは話していたし、私たちは邪魔にならないように私の部屋に戻った。
「結局は私と礼華ちゃんと同じ学校に通えるようになるのですかにゃ?」
︎︎さっきからずっとお兄ちゃんが話してるけど、結局結論は出たのか出てないのかどっちなんだろう。
「勘違いしてると思うけど、転入するだけなら今でもしようと思えばできると思うよ。お兄ちゃんと会長が話してるのはその先のことだと思う」
「先のことってなんですかにゃ?」
「一応シアちゃんはこんな見た目だからね、周りに馴染めるように私と同じクラスにできないか話してるんだと思うよ」
︎︎シアちゃんは元々可愛いし、しっぽと獣耳があることでより可愛くなってると思うけど、世の中どんな人がいるか分からないからね。前も言ったけどその普通の人間違う部分を批判していじめるような人もいるかもしれないから、知ってる人が同じクラスにいた方がいいのは当然の話だ。
「シア。通えることになったよ、学校」
︎︎お兄ちゃんが部屋の中に入ってきて、そう言った。そして私たちはベットで飛び跳ねながら喜んだ。
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