第13話 お泊まりだそうですよ!?
︎︎家に着くと、シアがなんだか初めてのものを見たかのように目を輝かせていた。
「ここが天乃江様の家ですかにゃ。私が寝泊まりしてる部屋よりとっても広いですにゃ!」
︎︎まぁ協会って【冒険者】が依頼を受けたり、お酒を飲んだり、試験を受ける場所が大部分だからね。シアが寝泊まりしてる部屋と比べたら広いのは当たり前の話である。
︎︎そもそもこの家は両親が【冒険者】友達とシェアハウスしてたところらしいから普通の一軒家と比べたらかなり広いと思う。
「シアちゃん、空いてる部屋はいっぱいあるけど折角のお泊まりなんだから私の部屋で一緒に寝ようよ!」
「嬉しいですにゃ、妹様」
「うーん、その妹様とかお兄ちゃんのことを天乃江様って言ってるの堅苦しいから辞めない?」
︎︎それは僕も思ってたけど、それを言うと僕が地下室で助けたところとかを一から言われるから諦めてたんだよね。
「礼華ちゃん……これでいいですかにゃ?」
「うん!」
︎︎結局シアは妹の事は名前呼びになったけど僕は【天乃江様】呼びのままだった。さすがに僕の呼び名を変えるのは無理らしいけど、僕は人前とかだと色々勘違いされるからやめて欲しいんだけどね。
「僕はご飯作ってくるから二人で話しててねー」
「分かりましたにゃ!」
︎︎こう見るとシアちゃんって大分幼い容姿をしてるよね。年齢とかは知らないけど、普通に見たら私より年下……もし上だったらどうしよ。
「私のことをじっと見つめてどうしましたかにゃ?」
「いや、シアちゃんが何歳か気になってね。それにそのしっぽとか獣耳がどういう原理でついてるのかとか?」
「実験で産まれた日から考えるとまだ二歳だと思いますにゃ」
︎︎シアちゃんって猫だし、人間の年齢で考えたら二十四歳? いやでもシアちゃんは人間でもあるしさっき言ってた二歳……? あぁ、もう分からないや。
「実験の時に使われた人間の年齢がそのまま私の年齢なってるはですがにゃ、分からないのから十四くらいだと思っておいて欲しいにゃ」
「見た目的にもそのぐらいだと思うよ。それじゃあ私と同い歳だね!」
︎︎シアちゃんと同じ学校だったらとっても楽しいだろうなぁ……。でもシアちゃんは学校を知らないと思うし、既に協会で働いてるらしいから厳しいよね。
︎︎そして何よりしっぽと獣耳を制服じゃ隠せないし、考えすぎかもしれないけどバレた時にいじめる人が出てくるかもしれないからね。
「ねぇねぇシアちゃん、学校に通いたいとかは思ってる?」
「学校ですかにゃ? 恐らく通うのは難しいと思いますにゃ。ただ、興味はありますにゃよ? 色んな人と一緒に勉強したり、一緒にご飯を食べたり、楽しそうですにゃ」
「それもそうだよね。私はシアちゃんと同じ学校に通ってみたいけど」
︎︎別に今の学校生活に不満がある訳では無い。友達と一緒に楽しく過ごしてるし、何も問題は無いけど、シアちゃんがそこに加わったらより楽しくなるだろうなと思っただけ。
「それだったら一度会長に聞いてみますにゃ。もし礼華ちゃんと同じ学校に行けそうならその時はよろしくお願いしますにゃ」
「私もお願いしに行こうかな。学校に通うことって大事だと思うんだよね、友達を作ったり青春したりするのは絶対経験した方がいいもん!」
「確かにシアも学校に行ったら友達増えるかもだしね。仕事があるとはいえ、大体は夕方にしかないからね」
︎︎いつの間にかご飯を作り終わっていたお兄ちゃんは私たちの会話に参加する。やっぱりお兄ちゃんもそう思うよね! シアちゃんも学校に行った方がいいよね!
「僕も会長に言っておくよ、年齢は礼華と同じぐらいだし、今はまだ仕事より学生として過ごさせてもいいんじゃないかって。もしOKでも受付嬢は辞めれないと思うけど、朝からすることはなくなるんじゃないかな?」
「私の同じところに行くならシアちゃんはここに住んだ方がいいよね?」
「それは会長に聞いてみないと。まぁ、あの人なら反対はしないと思うけどね」
︎︎まだシアちゃんと一緒の学校に通えると決まったわけじゃないのに顔が嬉しさで綻んできちゃう。シアちゃんと一緒に登校する場面とか、一緒に授業を受ける場面とか……想像が止まらない、そんな日々が来るかもしれないのが楽しみすぎる。
「獣耳やしっぽのことなんて気にせず接してくれる人に出会えるといいね。少なからず周りとは違う部分を悪く言う人は居るから、そういう時は気にしない方がいいよ」
「……? 今までのことに比べたらマシですからそのくらい大丈夫ですにゃ。それに、もし通えることになったのならそこには礼華ちゃんも居ますからにゃ」
︎︎まだ確定したことじゃないけど、そこまで頼られてるなら私も頑張らないとね。とりあえずせっかくお兄ちゃんがご飯を作ってくれたし、冷めないうちに食べないとね。
「とりあえずご飯食べよう? 話はその後でもできるからね。そういえば会長ってどんな人?」
「誰にでも優しくて清楚だけど、自分の性癖でシアにロンスカメイド服を着せてる人」
「後半を無視したら女性の理想じゃん。まぁでも、似合ってるしいいんじゃない?」
「まぁシアが嫌がってないならいいんだけどね」
︎︎あそこの協会では、依頼を受けて、終わったあとにお酒を飲みながらロンスカメイド服のシアを見て癒されてるという人が結構いる。会長の性癖が色んな【冒険者】の癒しに役立ってるというのが現状なのである。
「せっかくだし写真撮ろうよ!」
「シアの思い出になるからね、ちゃんと残して置こうか」
︎︎礼はスマホで写真を撮って、それを誰かに送ってからご飯を食べ始めた。それを見た礼華とシアもご飯を食べ始めるのだった。
「私も混ざりたかったです……」
︎︎出張先で礼から三人でご飯を食べてる写真を送られてきた時に、無意識にそう呟いた会長だった。
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