第14話

 *

 

 しばらく小説を更新していなかったからか、ひょっとしたらご心配をおかけした方もいたかもしれない。いや、私程度を心配する者などいないか。両親にも見捨てられたのだ、そんな私の動向を気にする者などいないだろう、そう念頭に置いて、久方ぶりに文章を書く。


 自殺未遂をした。


 橋から飛び降りて、入水自殺を図った。


 理由は、病状が悪化したからである。 


 というかぶっちゃけて言うと、知能検査を行って、注意欠陥多動性障害だったという結果が出たからである。


 先生にその結果を告げられた後、私は茫然自失として家に帰った。


 そうか。


 私のこの閉塞的で閉鎖的な人生は。


 人に迷惑を掛け続け、生きてきたこの人生が。


 病気のせいだったなんて。


 そんなオチだったなんて。


 そんなことあるか。


 ふざけるな。


 何だ、それは。


 どうしてもっと、早く分からなかった。


 どうしてもっと、早く検査しなかった。


 そうすれば、人に迷惑を掛けずに済んだのに。


 歯ぎしりと貧乏ゆすりが、止まらなかった。


 そして、先生からいただいた診断書を握りしめて、歩いた。


 歩いて、歩いて、歩いて、歩いた。

 

 道行く人が、私のことを莫迦にしているようにしか思えなかった。


 私は、駄目な人間だ。


 私は、どうしようもない人間だ。


 そんな風に見ないでくれ。

 

 そう思えば思うほど、奇異の視線が私に向いた。

 

 怖かった。


 怖くて、辛くて、逃げたくて。


 でも、どうしようもなくて。


 私の脳は、はちきれた。


 気が付いたら、家から十五分ほど歩いたところにある大きな橋の欄干に、足を掛けていた。


 死のう。


 まあ。


 それでもこうして文章を綴ることが出来ているのには、勿論奇跡でも何でもなく、理由がある。


 その様子を偶然見ていた医療関係者の方がすぐに救出を行い、救急車で運ばれ、助かったという塩梅である。


 全身打撲と、両足、手首、肋骨の骨折等々、数えきれないほどの傷が出来た。


 そして自殺しかけたということで、精神科に入院することになり、スマホは没収され、身体は拘束された。


 私を助けてくれた人に、何と言えば良いのか分からない。


 私は、また生きてしまったのだ。


 死にたいなあ。


 漠然とそう思いながら、入院生活を過ごした。




(続)

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