第7話
起きた瞬間から、今日は駄目だと心の底から理解した。
まず目が覚めた時刻が、午前1時である。
こうならないように、睡眠導入剤を処方されていたのだが、どうしてか今日は目が覚めてしまった。
躁とも鬱とも違う。
混沌としている。
その後また寝たけれど、二度ほど目が覚めた。
二度とも悪夢を見た。
私のいう悪夢は、大概何らかの大きな失敗を思い出すことがほとんどである。
そしてその失敗では、大抵人から指を差されて笑われている。
或いは奇異の視線を向けられている。
異常、と。
そう見られているのだ。
結局朝七時に身体を起こしたけれど、寝覚めは最悪であった。
気持ちの悪い類の汗をかいていた。
死にたいとか、生きたくないとか、もうそういう次元ではない。
そんなことを思える思考の領域が、私にはもう残っていない。
不死身のまま針のむしろに身体を固定され続けて、苦しみ続けるような、そんな苦痛である。
不死身を望む人間の心持ちは理解できない。
死ねないということは、老いないということと同義ではないからだ。
そして痛くない、というわけでもない。
痛いまま、老いたまま、辛いまま、苦しいまま、生き続けるなんて地獄そのものではないか――と。
昨今はなかなかどうして人口に膾炙した「不死身」という設定を見て、そう思う。
いや、思うのだが――それは何か良く分からない混沌に掻き消される。
混沌。
思考が混線している。
色彩を成していない。
ごちゃごちゃでべちゃべちゃのぐちゃぐちゃ。
誰か――。
誰か助けてくれ。
その日は一日、頭を抱えて、布団の中にいた。
そうしていないと、死んでしまいそうだったから。
(続)
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