「絶望したときに開けなさい」と言われて怪しげな箱を渡された
ライデン
第1話箱
[あなたは、私の願いどおりに魔王を見事に打倒しました。なんでも、一つだけ願いを聞き届けて差し上げましょう]
懐かしい声。俺を異世界転生させた女神の声だ。
(まったく)
ひどい世界だったぜ。
魔力が枯渇しかけ、魔力を得るために色々な種族が血みどろの紛争をしている世界。同じ種族、親族間でも日々血みどろの争いをくりひろげている。地獄とか修羅界とは、こういう所のことだろう。
「俺を元いた世界に戻してくれ。ここに比べたら、天国だった気がする」
元の世界もまわりの人間のすべての営みが三文芝居にしか思えず、とても空虚だとしか感じていなかったが。
「それは……」
「ん? なんでも願いを叶えてくれるんじゃなかったのか??」
また、俺に嘘をついたのか。
「その前に渡しておくものがあります」
「なんだ?」
「箱です。両手を差し出してください」
「こうか?」
俺は、箱を受け取るように両手を差し出す。
「はい。では、受け取ってください」
♠
箱は、木で出来ていた。大きさは、弁当箱くらい。細い紐で封じられている。
「なんだ、これ? 玉手箱??」
「似たようなものです。開けたら、持ち主が
玉手箱を開けると爺さんになってしまうのだが、この箱を開けると十分苦しんで死ぬのかよ!
「元の世界に戻ったら、俺は絶望するのか?」
「そもそも、元の世界に帰るというのが間違いなのです、私があなたに施したのは、異世界転移ではないので」
「じゃあ、なんだったんだ?」
「くくく。さぁ? 魔法を解いて差し上げますから、ご自分のなさったことをよく確かめることですね。まぁ、端的に言えば族滅ですよ。ふふふ。あなたが真に望んだ通りのね」
族滅って、一族郎党皆殺しだっけ? 鎌倉時代とかに横行したやつ。
問題は、どの一族郎党を皆殺しにしたかってこと。俺が皆殺しにしたかったが、憎しみをいだいていただけではないので、殺せなかった一族郎党?
(まさか……)
女神の邪悪な魔法が解けた時、俺は女神に渡された箱を開けた
「絶望したときに開けなさい」と言われて怪しげな箱を渡された ライデン @Raidenasasin
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