第7話 眠りに落ちる
フムフム、俺がいなくなった後。みんな偉くなったり。ぶちのめしたい相手がいたり大変らしいなぁ!
地球に戻って魔法が使えなくなった俺には関係ないが一緒に苦楽を共にし。魔王討伐の旅をした仲間の事を少しだけでも聞けて少し安心した。
その他にも色々聞いたがまた後でエスフィールにでも説明してあげよう。
「セツナ君!長々と話に付き合ってくれてありがとう。突然いなくなった時は、びっくりしたけどこうやって会えて良かったよ!」
マーリン先生は、太陽の様な笑顔でそう言ってくれた。
「俺も最後に先生とお話できて良かったです。アリーナにいた時は本当にありがとうございました。このご恩は一生わずれません(3時風)!」
そう言うと先生は少し泣き出していた。
「うん!うん!………!あっそろそろ時間だね!セツナ君!もうこれで会うことは無いと思うけど!元気でね!私、もセツナ君と出会えてとても、……とても楽しかったよ!」
先生はポロポロと涙を流しながらぼそぼそと言った。
「では、先生またどこかで会えたらその時は先生の好きなケーキ屋でも行きましょう。」
「うん!約束だよ!我が弟子セツナ!今までアリーナ為に色々ありがとう!さようなら!」
先生が泣きながら精一杯ブンブンと手を振る。
徐々に意識が霞む夢の中で眠るってどうなんだろうと思いながら俺は、夢の中での意識が無くなった。
夢を夢を見ました。アリーナの時に師事していたマーリンという大人のお姉さんだっかな?
冗談はさておき。まさかあの先生が夢渡りまで使って接触してくるとは…………俺は急いで枕元に置いていた魔法の袋に手を突っ込んだ。
ゴソゴソ、ゴソゴソ!うーん!これじゃない?!これでもないぞ?!数分間。袋の中を漁ってやっと見つけた物を取り出した。
夢魔やサキュバスの誘惑対策用に作られた魔道具(赤い小さい球体の魔宝石)を手に取った。
今後はこれを身に付けて寝ることに決めたのだった。
俺の地球での安寧。マーリン先生だろうと排除するのだ。
というか毎日毎日夢の中で会いに来られたら面倒さいしな。うん。
魔宝石も首にかけ。俺は再び深い眠りに着くことにしベットに横になった。今後はアリーナとはエスフィール以外の事では極力関り合いになりたくないのだ。
一方、別世界アリーナ・魔術院・理事室では、
「うっ!うーーん!くっ!」
夢渡りを終えた私、魔術師マーリンは夢の世界から現実の世界アリーナへ意識を戻し目を覚ました。
「マーリン様?マーリン様がお目覚めになられたぞ!すぐにお飲み物と最上級の菓子を用意するのだ。」
起きたとたんこれである弟子との今生の別れに感傷に浸っているのだからもう少し静かにしてほしいものである。
「マーリン様、夢渡りお疲れさまでした!お体は大丈夫でしょうか?」
と、聖女ことエリナ・セレスが私の顔心配そうに覗き込んでいた。
その隣には我が弟子セツナと同じ我が弟子のリーナ・サーシャが仁王立ちで立っていた。
「大丈夫!大丈夫!ピンピンしてるよ!この通り!」
腕をグルグル回しながら心配そうなセレにアピールした。
「‥‥‥年増が無理するものではない‥‥‥‥お師匠」
とっサーシャが、余計な一言を言ってくる。
「誰が、年増だい!私はピチピチのギャルだよ!」
「そうですよ!サーシャ!マーリン様に失礼ですよ!あ、あの!そっそれで夢渡りで夢の中で勇者様。セツナ様とはお会いできたのでしょうか?」
私の心配は建前で本命は我が弟子であるセツナの安否である。
この反応からしてまだ諦めていないらしい。だが私の徹底した教育で大人女性にしか興味が無いように洗脳してあるので相手にされなかったのだろう。
あの天然の女誑しめ!
「安心してくれ聖女様!我が弟子セツナとはちゃんと会えたよ!今から説明する。」
「本当ですか!ぜひ、お聞かせ下さい。マーリン様!」
私は夢の中でのセツナとのやり取りを事細かに説明した。厄災の窃盗事件に関与していないこと。地球に戻れたこと。魔法の力を失い魔法が一切使えなくなったこと。仲間の安否を心配していたこと等、詳しく話した。
聖女様事、セレスは、私が話すことを1つ1つに小さく頷きポロポロと泣き始めた。
「そうですか、勇者様は魔王討伐後。元の世界に無事帰れたのですね!そうですか!無事だったのですね!良かったです!良かったです!」
そう言いなから止めどなく涙を流していた。
サーシャは天井を眺め遠くを眺めていた。この子も感情を余り表に出さないがセツナが無事であることを知り、喜んでいるのが分かる。
だが、数秒後、目を見開いて私を見てボソッと
「お師匠!」
「なんだい?可愛い!サーシャ!」
「夢渡りは‥‥お互い魔力が無いと成立しない‥‥‥」
私はハッとした確かにそうだと!弟子のセツナに会えて嬉しさの余り夢渡りの発動条件を忘れていた。
しかし、セツナは地球では魔法が一切使えなくなったと言っていたが夢の中ではどうだろうか?夢もある種の1つの世界!セツナに説明したことを今、思い出す。
夢の世界ならばセツナの魔力も戻り私からセツナに干渉できるのだ。
「もっ!もう一度夢渡りでセツナにあってくるよ!」
というと聖女様が!
「もう一度ですか?それは可能なのでしょうか?」
「上手くいけばセレスとサーシャも一緒に夢渡り出来るよ!」
「ぜひ!よろしくお願いいたします!」
めちゃくちゃ元気に言われてしまった。
先ほどよりも早く夢渡りの魔法を自分にかける2回目なので最初よりもスムーズに発動し私は深い眠りに着いた。
「さー!我が弟子また会えるよ!」
…………会えなかった!
「あのバカ弟子!!夢渡りを、阻害魔道具で夢に入れないように阻害魔法をかけたなあーーー!あいつーーー!!!」
私は吠えるように叫んだ。
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