第6話 色々考え
魔王エスフィールとの最終決戦後。なぜかこちらの世界(地球)に帰ってきてから長い1日が終わろうとしていた。
次元の間(はざま)に吸い込まれ元の世界に戻り。今は自室のベットに横たわりながら今日1日起こったことを1つ1つ思い出しながら整理しよう。
まず大きな出来事はアリーナで過ごした時間は4年~5年ほど経っていたはずなのにこちらの世界で戻った時の年齢が、アリーナに飛ばされた時の外見と変わっていなかった。
これはいわば精神年齢的なヤツが肉体年齢よりも歳を取ってしまったということだろう。
なぜ、そんなことになったのかというと俺の勝手な憶測だが、これはアリーナの女神のギフトだと思われる。アリーナ(その世界)での驚異、つまり、アリーナでいうならば現況の魔王エスフィールを、こちらの世界に連れてきてしまった影響では無かろうか?
驚異といっても強い力を指すわけではなく。魔力総量、周りへ影響力、財力等々、エスフィールの場合は、魔法族である為の魔法総量が一つの原因なのでは無いだろうか。
エスフィールと1日過ごして分かった事だがあの子は別にアリーナの世界を征服するというよりも。魔族の生活や地位の保障等、魔族を保護するために動いていた気がする。
それにアリーナの女神というのも気まぐれであり、余り関わりに会いたくない存在でもある。
アリーナにとっては当たり前の存在なのだが。別世界からやってきた俺からしたら少し異質に感じる出来事がアリーナを冒険中に多々あった。
こちらの世界で俺とエスフィールが魔法が一切使えなくなったのも女神が絡んでいると俺は勝手に推測する。
「その対価が若がえりか?―女神―様よ」
そう、呟いているうちに眠気に襲われ、深い眠りに落ちていった。
?
???
ここは?どこだ?
意識が、ボーッとする。そうか、色々考えている間に寝落ちしたんだった。
「やーやー!!やっと会えたね!我が、最愛の弟子よ!大魔術師マーリン先生だよぅ!」
頭が混乱していたが目の前から懐かしいような。胡散臭いような声が聞こえてきた。
「もしもーし?聞こえているかな?我が弟子?感極まって言葉も出ないかな?泣いちゃった?」
人をおちょくる様なこの言い方。間違いないあちらの世界アリーナで、師として魔法や剣術等を叩き込まれた魔術師マーリンだ。
「どちら様で?」
「よーし!覚えの悪いバカ弟子には、後で呪いをプレゼント!!」
「お久しぶりですね。先生。今日もとてもお美しい!」
「やっと思い出してくれたかい!いやー良かった!良かった!」
そう言うとうんうんと首を大袈裟に振りながら。にんまりこちらを見てきた。
この魔術師マーリン。こちらの世界ではブリテンのアーサー王伝説で有名な宮廷魔術師マーリンが有名だろう。
確かあちらの方はかなり歳をとっていたとネットで調べた記憶があるが。同じ名前でもアリーナのマーリンの見た目は髪はブラチナブロンドで顔つきは16~18才位の可愛らしいお姉さんという感じで俺が、お姉さん好きになったのもアリーナで色々世話になったマーリン先生の影響がモロである。
「それで?何で先生が地球にいるのですか?」
「地球?あー!君が以前、飛ばされる前に住んでいた所だよね?でもここは、地球では無いんだ!!」
「地球ではない?」
「そうそう!」
「ではここはどこなんです?」
「夢の中だよ!我が弟子!」
「では今すぐ起きます!さようなら!」
「あー!無理無理!私の話が終わるまで起きれなくしてあるから!」
「なんだと?」
「下手なことは考えず素直に私の話を聞いてた方がお利口だよ」
そう言われ近くまで来るように手招きされた。
「くっ!では早く用件を行ってください。それとなぜ、先生が夢に現れたのですか?」
「夢もまた1つの世界なのさ!アリーナと地球の次元が違っていても私、程の力があれば夢渡りやなんて事も出来るのだよ」
さすが、アリーナの世界でも最強クラスと言われてるだけあり。規格外すぎる。次、寝るときちゃんと対策しておこう。
「そうなんですね~!いや~さすが、先生!では早くご用件をどうぞ!」
「そんな慌てない慌てない!師と弟子の久しぶりの再会なんだからゆっくり話そうじゃないか!」
いやなこった!やっと地球に帰ってきて地球でのマイライフを静かに過ごすと決めているのだ。
今さら、剣と魔法の異世界ファンタジー等に関わりたくないのだ。(戦利品である魔法アイテムは、生活向上に遠慮なく今後も使わせもらうがな!ハッハッハ!)
「では、なぜ?先生が夢渡りまでして俺なんかに会いに来たのでしょうか?」
「いや~!君と魔王さんがいなくなってから色々大変なんだよ。だから私としては早めに戻って来てもらわはないと困るんだよね!」
「戻って来てもわないと困る?」
「うん!」
「なぜです?」
「キミ!アリーナ世界いや。エウロペ大陸にあった貴重な魔道具や神器や財宝やらどっかに隠したでしょ?エウロペ大陸の国々ではそのせいで今、大パニックさぁ!」
「さっぱり分かりません!」
「えっ?そうなの?」
嘘である。エウロペ大陸にいた時、少しでも暇があれば自分の転移魔法で色々な国に行っていた。
勇者パーティーメンバーには転移魔法というスーパー便利な魔法を使えることは黙っていたが。
その時である国々に散らばる金銀財宝。レジェンドアイテム等をせっせと集め回ったのだった。変わりの物は複製魔法で土から作ったオブジェに差し替えた。
なぜ、そうするかって?勝手に平和な地球から危険極まるアリーナなんかに勝手に呼んでお前が勇者だ!魔王を倒せ!いきなり言われ。魔王討伐後は抹殺、投獄の話を姫様から聞いたからだ。
複製魔法には俺が死ぬかいなくなった後に土に戻るように細工してある。
そうか、俺が地球に戻ったせいで複製魔法が切れたのか。
ちなみにそれらの今の所在はこちらの世界に一緒にやってきた相棒の魔法の袋に入っている。
袋の奥底に封印魔法で俺、以外に取り出せないので一緒見ることや使う事は無いだろう。
話を戻そう。
「はい。何も分かりません!」
真剣な眼差しで世界を見る
「こっちをまじまじと見ないでくれないかい!恥ずかし!!」
マーリン先生が顔を赤らめて視線を外した。
修行時代もこんなことが度々あった。なぜ恥ずかしがるのだろ?未だにわからない。
「ここまで真剣にわからないと言われたのならこの件に関しては君は、なにも関係無いみたいだね!良かった!良かった!先生もひと安心だよ!」
嬉しそうに俺の頭に手を置いて髪の毛をワシャワシャしてくる。
「そっ!そうですね!(汗)」
先生は結構、大事な事でポカをする。今がそれだろうか?
久しぶりに弟子に会えて深く疑わないからか?
俺が去った後のエウロペ大陸では色々と起きていて疲れているのだろうか?分からないがバレないならまぁ、いいか。
「では、話はもう終わりですね!今回は夢の中で会えてとても嬉しかったです。またどこかでお会いできる事を心から思います。今までありがとうございました。さようなら」
THE テンプレを早口で言い終え俺は後ろを向いた。
「いやいや!まだまだ話す沢山あるよ!なに逃げようとしてるんだい?我が弟子よ!」
この悪夢はまだ、覚めないらしい。
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