第5話 買い物を
セツナ視点
俺があちらの世界(アリーナ)に飛ばされる前の出来事である。
義妹であり溺愛している神成星奈(かみなり・せな)に新しい服が欲しいとせがまれ。星奈に似合うゴスロリの服をネット通販で数着買ったのだ。
俺の両親はどちらも海外を飛び回っていてなかなか会えない為。小さい頃から一緒に過ごしていた星奈をとても可愛がっていた。
なぜ、今、家にいないのかというと現在、星奈と俺(通っていた。)が通っている学校には寮があり。星奈の希望で寮生活をしてみたいと理由から学校には寮から通っている。
アリーナに飛ばされて数年会ってない感覚だ、次に会うときが、とても楽しみである。
それからもう一つ。なぜ、星奈が義妹なのかというと現在、地球での14才の俺の1つ年が離れているからであり。父さんととても中が良かった親友夫婦が突然、行方不明になり。親戚中をたらい回しにされていた星奈を見かねたうちの両親が星奈を引き取るという形で家族になった。
とにかく次に星奈に会うときが楽しみで仕方がない。
そして。エスフィールが着る服が無いと話すので星奈のプレゼント用に用意していたゴスロリ服を一着エスフィールにプレゼントした。
イヤらしい気持ちなど全く持ってないがあの綺麗なブロンドの金髪に整った容姿をしているエスフィールだ。絶対に似合うと思った。
そして数分後、2階から降りて来たエスフィールがゴスロリ服を身に付けておずおずと俺の前に歩いて来た。
「どうじゃ?似合うかのう?」
顔を赤らめて体を恥ずかしそうにモジモジしている。これで年上のお姉さんなら俺は間違いなく惚れていただろう。お姉さんは最強である!
「とても似合っているよ!エスフィール」
「お、おお。ありがとう」
「よしよし、これで買い物に行けるな。後、これも渡しておくから身につけといてくれ」
俺は魔法の袋からブレスレットを取り出しエスフィールに手渡した。
「なんじゃこれ?何の魔道具じゃ?」
「認識阻害の魔法をかけてあるから身に付けておけばナンパ避けになるよ。君は目立つ容姿だから。そのまま買い物なんか行ったら人だかりできるぞ」
「おー!そうなのか?というかお主。魔道具も作れるたのか?」
「旅している時は、移動意外やること無かったからな。暇潰しで作っていたら趣味になっていた。パーティーメンバーからはガラクタ呼ばわりされていたが」
「まぁ、アリーナじゃ、認識阻害の魔法等、普段使わんからな。しかし綺麗に作るのう。魔族の貴族達なら高値で買いそうじゃな」
「そうそう、王都の貴族階級には、結構高値で売れていたよ。資金調達に一役買っていたな」
「お主、金を集める為なら何でもやるんじゃな」
「消されるリスクを少しでも軽減させるためだ」
そんな会話をしながら俺も身支度を整える帽子と黒ぶち眼鏡をかけ準備ができた。俺も先ほどのブレスレットを付けた。目立つのは案外苦手である。
「なんじゃお主!そのダサい眼鏡わぁ!!!!ぶほぉぉお(笑)!!」
エスフィールは俺の眼鏡姿が面白いかったらしく。腹を抱えて笑い始めた。後でお仕置きしてやろう。
軽くエスフィールの頭をチョップして一緒に家の玄関を出た。
うちの家の回りはいわゆる富裕層が、お住みになる高級住宅街だ。俺の両親の資産や稼ぎは相当あるらしく。そのお陰で俺はなにも不自由なく暮らしていた。
「初めてこちらの世界の外に出たが魔王城下町の貴族階級が住むレベルの家ばかりじゃな」
「まぁ、周りのご近所の皆さんは金持ちばかりだな」
「お主の家もか?セツナ」
「そう、何を隠そう俺はそれなりの良いとこのお坊ちゃんなのだ。」
「ほーん」
「まぁ、とりあえず歩くのも面倒くさいからタクシー呼んどいたからもう少ししたらタクシーが来るよ!」
「タクシー?」
しばらくしてタクシーが家の前まで着いた。2人で乗ってショッピングモールまで行くことにした。
地球に戻ってこれたからには静かに暮らして行きたいものである。エスフィールとタクシーに乗り込み。車内でふとそう思ったのだ。
「セツナ!、なんか、デッカイ建物が見えてきたのだ!」
テンションが上がって行く魔王を見て俺はそう心に誓った。
一緒に暮らすことになったアリーナ世界の魔王様こと。エスフィールと一緒にショッピングモールへ行くことになった。
現在は女性用の服屋の前でエスフィールが目を輝かせて周りを観察している。
「いやー!あっちの世界アリーナとは何もかもが違うからビックリするのう!」
エスフィールが興奮気味にそう言ってきた。
「アリーナ世界は魔法があったから。機械技術や科学の発展が余り無かったんだろうな。その代わりだいたいの事は魔法で解決できるしな。」
「魔法が使えない代わりにこちらの世界の人達は別の方法で発展したのか。色々、勉強になるのう」
この魔王。行動や性格はアホな時があるが観察眼や思考能力は相当高い事がこの数時間。彼女を、監査して見て分かった。アリーナでも魔法族の人間は魔力も高いが知能面でもかなり優れていると王都の禁書庫で読んだ事がある。
「時間は、まだあるから色々見て回ろうか」
「うむ!」
俺の肉体は14才のままだが。数年間あちらの世界に飛ばされていたのでこちらの生活を忘れている部分がある。こちらでの暮らしを思い出すリハビリにもなるためエスフィールにショッピングモール内の店を丁寧に説明していく。
「セツナ!この店は何と言う店じゃ?」
エスフィールが女性専用の服屋を指差した。
「あーあれ?こちらの世界の服屋だよ」
「いくぞ」
そう言うと俺の片腕を掴んで店の中に入っていく。
エスフィールは数分店の中の服を数着手に取ると店員に試着室に案内されて店の奥へと消えていった。
数分後、上は、紺色の上着に下は、ロングスカートと少し落ち着いた服装に着替えていた。
「これにするが買っていいか?」
「好きな服を買っていいよ」
そう言うとエスフィールは数着の服を選び。会計を済ませた。
「なぁ、メイド服は着直さないのか?」
「遂にメイド服と認めたか。あんな、下がスウスウするミニスカート恥ずかくて着れぬわ」
さっきまで着ていたゴスロリ服改め。メイド服を着ている事に凄い抵抗があったらしい。凄い剣幕で睨まれた。かなり似合っていたでもう見れないのはとても残念である。せっかく認識阻害の魔法で周りに目立たずに俺だけがエスフィールのコスプレを楽していたのでとても残念で仕方がない。
「そうか。また別の機会の時に着てみてくれ」
「着るかアホ」
腰辺りを少し強く小突かれた。かなり恥ずかしかったらしい。
そんなやり取りの後は夕食に和食を食べたり。エスフィールが家で使う日用品を買い揃えた。
それから1つ発見があった。なんとこちらの世界で作られた道具も魔法の袋に収納出来ることが分かった。
無理だろうと思って。試しに脱ぎたてのメイド服を入れて見たところ俺のメイドフェチの執念が勝ったのか上手く収納された。
こちらの世界では魔法が使えなくなったが道具に付与させた魔道具は使える為。
魔法の袋に収納されているアリーナ世界・エウロペ大陸の魔道具は便利な為。色々と使っていこうと思う。さすが伝説級の魔道や攻撃性の高い武器は一緒取り出すことは無いだろう。
アリーナで散々、死にそうな思いをしたので地球での今後の人生はその経験と手に入れた道具の数々で静かに暮らしていきたいと思う。
魔王視点より
今日は色々な事がありすぎて驚く事ばかりだ。セツナと一緒に地球に飛ばされ。今の状況をセツナに説明されカレーを食べ。メイド服を着させられ。ショッピングモールとやらでこちらの世界での初めての買い物をした。
アリーナ世界・エウロペ大陸で魔王をしていたら絶対に出来ないことを今、出来ていることに喜びを覚えた。
勇者(セツナ)と共に一緒に飛ばされた時は魔法も使えなくなり不安しかかなかったが。今はそんな気持ちも消え今後のこちらの生活が楽しみになった。
セツナのメイドフェチとやらは少し不安になるがセツナからは私に手を上げる事は全く無いので。やはり私の魔王の威厳というものに畏怖しているからだろう。
すっかり日が沈み辺りが暗くなっていた。
「セツナ。今日は色々案内してくれてありがとう。アリーナでは、こんな買い物など出来なかったからとても新鮮だったぞ」
「それは良かったよ!俺も今日は良いリハビリになって楽しかったよ」
「そうか!セツナも楽しかったのなら私も良かったぞ」
ショッピングモールに着た時と同じ様に、タクシー乗り場でタクシーに乗り私達は、帰路に着いた。
都内某所にある聖豊中学校。寮内
寮内の一室で1人の女の子が必死に勉強をしていた。
私は神成星奈(かみなり・せな)という。私には、目標がある。1つ上で義理の兄に勝つことだ。
兄こと神成セツナは昔からとても非凡だった私が出来なかったり、わからない事も直ぐに理解し先に進んで行く。成績も余り詳しく話してくれないが全国模試でも上位の位置をいつもキープしていると母から聞いた。
しかも性格も良く私や私の同級生が困っていたら颯爽と現れては解決してくれた。
親が違って血が繋がっていないにも関わらず私のわがままを聞いてくれたり。
何かイベントがある度にプレゼントをくれる。
以前、何処からそんなお金を持ってくるのかと聞いたら私と年が変わらないくせに親に隠れて投資や株等でかなり儲けている。
そういえば、兄は昔からお祖父様の家に行っては。お祖父様の所へ頻繁に行き2人で難しい話に花を咲かせていたのを覚えている。
両親は何も気にしていなかったが子供の面倒を見てくれて助かっていたらしい。お祖父様からもらっていた小遣いで投資を始め今では相当溜め込んでいると少し聞いた。
そんなことを思い出しながら私は勉強に励むこの兄と一緒に通っている全国でも有数の進学校である聖豊中学校での勉強は難易度が高く。家から通うより設備の整った寮で暮らした方が勉強に集中できると思って寮生活を選んだ。
何より私よりも優秀な兄に勝つ為にも今、必死に勉強に勤しんでいる。
数時間経過して今日の分の勉強を終えた私はスマホでラインやインスタ等に連絡が来ていないか確認した。
クラスメイトから画像が送られてた。
その画像を開くとメイド服を来た金髪の可愛らしい女の子が兄と仲良さそうに写っている写真だった。
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