シンデレラ・B

 シンデレラは継母と義姉あね二人にいびられながら毎日身を粉にして働いていました。

 ある日お城から武闘会のお知らせが来ました。「お母様、武闘会ですってよ」。義姉たちは大いに喜び、継母も娘たちにふさわしい相手を物色する良い機会としてまんざらでもない様子です。

「あの、お継母かあさま」

 シンデレラはおずおずと切り出しました。まあ大体無理なことは分かっているのですが言わずにはいられません。

「私も武闘会に行きたいのですが」

「は? 何いってんの?」。上の義姉が鼻で笑います。

「さすがにちょっと調子に乗りすぎよね」。下の義姉も口の端を歪めて嘲ります。

「この国の王子もいらっしゃる武闘会にあなたごときが行きたいだなんておこがましい」。継母は目を見開き叫びます。「身のほどを知りなさいッ!」

「分かりました」

 シンデレラはそう呟くと重心を低く取り、構えました。

「武闘会に行くまでもないということですね」

 言い終わった瞬間、床を蹴り弾丸のように飛び出すシンデレラ、義姉の懐深くまで潜り込み拳を突き上げます。「ゴパァ!」上の義姉は防御もままならぬまま吹き飛びました。返す刀で下の義姉に回し蹴りを食らわせますがこれはガードされました。シンデレラは軽く後方に飛び退くと、呼吸と体勢を整え再度進撃、数十回の応酬の末、押し切る形で下の義姉をねじ伏せます。

 その背後をつくようにして継母が手刀を落としました、が、シンデレラは間一髪で避けきり、両者にらみ合うこと数瞬、重々しい沈黙が辺りを包みます。

 突然、家の扉が開きました。

 お城の使者です。

「続きは城で!」

 シンデレラの側の扉も開きました。こちらは魔法使い。

「続きは城で!」

 シンデレラと継母は横目にちらりと視線を動かすと素早くその場から離れました。継母はお城へ、シンデレラは魔法使いと共に中庭へ。

 あとには義姉二人が残されました。

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