赤ずきん
狼は先回りをして、赤ずきんちゃんよりひと足早くおばあさんの家にたどり着きました。
まずはおばあさんをぺろりと食べます。そうしておばあさんに成りすまして赤ずきんちゃんを待ち、油断しているところをこれもぺろりといただいてしまう。作戦はこうです。完璧ですね。
というわけで、狼は力任せに戸を蹴破り、おばあさんの家に押し入りました。
おばあさんの格好に着替えている別の狼と鉢合わせました。
「は?」
「え?」
「お?」
「え?」
何だか嫌な沈黙が二匹の狼の間を駆け抜けます。えっお宅誰? といった風です。
入り口で立ち尽くす狼(狼の姿)の傍らをすり抜けるようにして、新たな影が家に入ってきました。猟師です。歴戦の勇者のような雰囲気の猟師が無駄のない滑らかな動作で狼(おばあさんの姿)を仕留めました。猟銃とナイフの技量が冴え渡ります。
そのまま狼(おばあさんの姿)は猟師によって太めの腹をさばかれ、中からおばあさんが救出されました。
遅れてやってきた赤ずきんちゃんがおばあさんと抱擁を交わします。「おばあさん!」「赤ずきん!」。急なサプライズからの感動の対面です。
狼(狼の姿)は何となく事態を察してそっと立ち去りました。猟師がものすごい顔で凝視してくるのに耐えられなくなったというのもあります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます